先日参加してきた「滅びゆく高山植物を守るための市民フォーラム」で、興味深い話を小耳に挟んできました。
北海道の条例で、“登山道外の歩行が禁止できるようになる”というのです。来年4月、アポイ岳が適用第一号になるとか。全くの初耳でした。今まで、登山道外を歩くことはマナー違反ではあっても法律にはなんら背くものではありませんでした。それは国立公園の中でも、特別保護地区でも同様です。ですから、登山道から外れ植生を踏み荒らしている登山者に対しても、その行為を禁止することはできなかったのです。もしそんな条例が施行されているとなると、これはかなり画期的なことです。
少々調べてみると、「北海道希少野生動植物の保護に関する条例」のことのようです。条文を読んでみると、「生息地等保護区」の中の「管理地区」の中の「立入制限地区」に立ち入ってはならない、となっています(第31条・第32条・第33条)。ずいぶん複雑な地区指定の過程が必要なものです。罰則もしっかりついていて、違反すると6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金(第54条)を科せられます。
アポイ岳では、絶滅寸前のヒダカソウを保護するために、平成18年4月から立入制限地区を設けるとのことです。登山道以外を全て立入制限地区に指定することで、結果として登山道から外れることが違法となります。
実際にはほとんどの登山者が登山道を外れるようなことはしませんし、外れている場合でも一言注意すれば大半は理解してくれます。ですから、この条例が有効であるのは、意識的に登山道から外れる人達に対してでしょう(たとえば盗掘業者のような)。また、稀少な動植物を本気で守っていく意思があるのだ、とアピールする役割もあるかもしれません。
いずれにせよ、今後のアポイ岳と条例の運用から目が離せません。
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