2005-10-31

2005年の紅葉

 以下は『広報ひがしかわ』11月号に掲載された拙文です。

2005年の紅葉

 大雪山に関わりはじめてすでに十年を超えた。この間「きれいだな」と思った紅葉は三回あった。1995年、1996年、2003年だ。90年代は、米の大凶作が社会問題になった93年以外は気候変動が顕著に現れなかったので、大雪山の紅葉はきれいなのが当たり前だった。それが、小雪と猛暑で木々の葉が茶変して落ちてしまった98年以降状況は変わり、年によって色づき加減が大きく変動するようになる。
 今年の紅葉はどうだったのか?人によって評価は割れるだろうが、筆者の判定は「優、良、可、不可」の四段階評価の「可」である。たしかに色づきはマアマアだったが、色に冴えがないというのがその理由だ。
 木々の葉がきれいに色づく条件は二つある。秋口まで緑色のパリっとした葉がついていること、紅葉時期に放射冷却による朝晩の冷え込みがあり、昼間との寒暖差が大きいことーーだ。木々の葉は信号機のように緑→黄→紅とは変化せず、いちど黄色くなった葉は茶変してきれいな赤にはならない。きれいに紅くなるには緑からいきなり赤に変色しなくてはならないのだ。そのためには朝晩と日中との寒暖差が必要になる。ことしの紅葉が「可」に留まったのは、朝晩の冷え込みが弱く寒暖差が小さかったせいだろう。
 紅葉の色づきが年によって大きく変化するようになったのは、気候変動と関わりがあると筆者はニラんでいる。原油価格が史上最高値を更新しつづけている今だからこそ、いれいな紅葉を見たかったら暖房の設定温度を下げ、CO2の排出を抑えて欲しい。

0 件のコメント: