2005-10-28

道東山旅編4:羅臼岳

道東山旅も今日で4日目。出発以来の好天続きで、登りたかった山は全部登り、順調に知床まで移動してきました。今日はいよいよ最後の山、羅臼岳。天気予報によると今日も快晴になるようです。6年前にウトロ側から登った時には濃霧で全く何も見えなかったので、どんな景色が見えるやら期待が高まります。

今回は前回とは違うコースを使い、羅臼側から登ることにしました。羅臼の友人によると「長い・疲れる・飽きる」コースだそうで、利用する登山者もほとんどいないとのことでした。なにせ、登山口の標高が120mほで羅臼岳山頂は1661m。その差1500mを登って下るわけです。しかも距離も長く、往復で17km以上あるときています。むむむ。今年一番の難敵かもしれません。

スタートはキャンプ場から。登山口の標高が低いということで、まずはしばらく森歩きが続きます。尾根に取り付き高度を上げていくと標高500mほどで突然ハイマツが現れます。「ハイマツ原」というそうです。ハイマツやナナカマドの実を食べたであろうクマ糞を横目にさらに登ると、「第一の壁」という岸壁にたどりつき、ここからはなだらかなトラバースです。

このトラバースも2km以上あって、たいがい飽きてくるのですが、このあたりからようやく羅臼岳の山頂を拝めるようになります。トラバースを終えると沢に行き当たります。沢沿いに岩場を登ると写真の「泊場」に到着です。距離的にはここで半分を過ぎ、いよいよ後半戦という感じなのですが、実は標高差はまだ1000mも残っています。大雪山ならここから登りはじめるくらいの場所です。

距離が短い割に標高差はありますので、当然急登続きです。このあたりからは雪も融けずに残っていますので、歩きにくさも5割増し。山を登っていて久しぶりに「キツい」と感じました。

途中、雪の上に熊の足跡がありました。お、ここにも一つ、あ、あっちにも。と最初のうちこそ写真を撮っていたのですが、

こんなものを見てしまうと、ねぇ。斜面一面、目に入るところ全てに足跡が刻まれていました。大きいのも小さいのも。登りも下りも滑り降りた跡も。熊の親子の遊び場になっているのでしょうね。ハイマツ帯には実を食べ散らかした跡もあり、ここが熊の世界であることを思い知らされます。などと考えていると、すぐ近くのハイマツがガサガサ。姿こそ見えませんでしたが、これ、絶対熊です。「おーい」と声をかけるとハイマツの海をガサガサガサガサさせながら遠くの方へ去ってくれました。大雪山にも熊はいますが、ここまで近くに感じたることはありません。さすが知床、熊の本場。

熊の足跡をたどるようにして、最後の急登を登り、ようやく羅臼平に到着。あー疲れた。でもここまでくれば山頂まではもう一登り。雪をかぶった岩場を行きます。

そして、着きました、羅臼岳。前回見ることのできなかった山頂からの眺めもばっちりです。硫黄岳方面の山々はこんな風に見えるんですねえ。天気が良すぎて遠くがかすんでしまっていましたが、羅臼湖や国後島がよく見えます。羅臼の町も、登山口があるあたりも見えます。あんなところからよくもまあ。まだ下りが残っているのに、思わず今日を振り返ってしまいました。

おまけ画像1。無謀登山者。ちょうど羅臼平で出会った彼。ウトロ側から登ってきたようです。ジーンズ・スニーカー・荷物は小さなウエストバッグだけ。たぶん財布と携帯とペットボトルくらいしか入っていないでしょう。雨具はどうした、雨具は。地図は?コンパスは?誰か登山口で止めてあげられなかったのでしょうか?10月末の羅臼岳にこんな装備で登るのは自殺行為です。夏でもいけません。観光気分・散歩気分で山に登ってはいけませんよ。

おまけ画像2。シカちゃん。大雪山にもシカは結構いて、特に車道脇にいるのはよく見かけますが、こんな風に登山道に堂々と出てきて、しかも近づいても道を空けてくれないなんていうことはありません。手を伸ばせば届くくらいの距離になってようやく2~3歩どけてくれました。人慣れしているというのか、人なんて眼中にないというのか。

下山後、羅臼の町中から。結局山頂往復でまるまる8時間かかりました。最後のほうはホント疲れた…。降りたらアイス食べてやる。ジュース飲んでやる。などと食べ物を餌にがんばり抜きました。あそこまでの距離と高さを往復してきたと考えると、本当によく歩いたものです。よくやった。

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