11月23日(日) 高曇りのち快晴
雪の上でのテント撤収は、たとえば雨の日や土の上などに比べて、濡れも汚れもないためはるかに簡単快適に行うことができます。日の出る前に食事を終え、テント内でパッキングをして、明るくなったらすぐにテントを片づけ、そして出発。
冷え込みはそう強くなかったようで、夜もよく眠れました。氷点下までは下がらなかったのではないでしょうか。それでも、昨日たくさんの登山者に踏みしめられたであろう雪道は、朝の冷気に硬く締まっています。
剣山山頂は昨日行ってあるので今日は立ち寄らず、まっすぐ次郎笈へ向かいます。途中、登山教室らしきグループと出会いました。山頂ヒュッテに宿泊し、朝一番で山頂を踏み次郎笈へ向かうところなのでしょう。私のザックを見て、ヒソヒソ、テントよ、ヒソヒソ、縦走ね、ヒソヒソ、重そうだわ、と囁きあっていました。 直接話しかけてくれれば応えの返しようもあるのですが、仲間内でヒソヒソされるとどう対応して良いものやら困ってしまいます。結局ニコニコと皆さんを見送るだけになってしまいました。
朝一番のまだ暖まっていない体には若干きつい次郎笈の登り。雪も堅めでキックステップでギリギリなんとかなるくらい。重い荷物を背負っていますからちょっと神経を使います。登りきって風の強い山頂から見返す剣山。こっちから見ると、左右に大きく裾を引いてどっしり構えて堂々としたものです。稜線にわずかに着いた雪がまた格好良い。
南に目をやると、ん?あの光っているのは、海?太平洋?こんな近くに見えるとは。
あまりの風の強さにじっくり景色を眺めるのは断念し、再び振り返って縦走路。正面奥が三嶺。白い雪を目で追えば、それがほぼ三嶺までの縦走路になる形です。今日中にあそこまでかあ。結構長いかも。
朝から高曇りで、景色は見えるもののどことなくどんよりとしていましたが、徐々に青空が広がってきて11時を過ぎるころにはすっかり快晴となりました。灌木に覆われた高ノ瀬山を越え、一瞬展望がひらけたとき見えたその山は。左に剣山、右に次郎笈と並んだ姿は、まるで双子のような鏡映しのような。
今日最も景色が良く、そしてゆるやかで、歩いていて楽しかったところ。一日ずっと尾根通しの縦走路とはいえ、少し標高が下ると樹林に囲まれるので、これだけすっきりと周囲を見せてくれる箇所はそう多くはないのです。しかも意外に登り下りがあり、同じ標高を保って水平に歩かせてくれる箇所もありません。そう言う意味では、今回の縦走のハイライトはまさにここ。
背の低い笹原は周りの景色の邪魔をせず、山々をそのまま見せてくれます。360度見渡す限り山並み。素敵な場所だなあ。どことなく大雪山風でもあり。ずっとここでぼぉーっとしていたい・・・。
その後も登り下りを何度か繰り返し、やってきたカヤハゲ。「ここから見る三嶺がいい」と何かに書いてありましたが、確かにその通り。間近にぐわーっとそそり立ち、重量感というか存在感というか、そういうものを感じます。そして同時に、まだこれを登るのか・・・と。ぶつぶつ言っても始まりません。あの青空に向かって登れ!
三嶺への登りが今日最後の登りで、これさえ終われば山頂直下の小屋でお休みできるというのに、その最後の登りがなかなか難物です。急登なんです。ときにはこんな鎖があるほど。空身ならどうということもない鎖場も、縦走装備だと一苦労。
でもそこを頑張れば、ほら。三嶺ですよ。明日歩く予定の稜線には白い雪。ほのかに夕焼け色に染まりつつあるようです。
はるかに遠くへ行ってしまった剣山。そこからすうっと続く稜線。今日歩いてきた峰々を一目で見られます。良く歩いた!
ここまでくれば小屋まではわずか。山頂直下の広いテラスの端に建つ三嶺避難小屋。隣には池(凍っていますが)。昨日のキャンプ場に続き、この小屋もまた、なんと立地に恵まれているのでしょう。
中も清潔で広くて明るくて、もうサイコー。しかもそこを独り占め。どこでも寝放題。いい夜になりそうです。
ただ一つの難点は、水が取れなかったこと。幸い小屋の周りは20~30cmの積雪があるので、雪には事欠きません。冬山方式で雪を溶かして水を作りました。・・・冬山登山に来たつもりはないんですけどね。
今日の行程
西島キャンプ場-次郎笈-高ノ瀬山-カヤハゲ-三嶺-三嶺避難小屋
所要時間:7h22
歩行距離:15.6km
累積標高:+1465m/-1314m
1 件のコメント:
表現面白いね~~^^。
読んでたら無理だけど、この時期に行きたくなったわ~~。
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