2010-09-25

大雪山の気象の厳しさ

また大雪山で登山者が亡くなりました。凍死だったそうです。

服装は登山用ではなくごく一般的な綿の上着にジーンズを履いているだけでした。雨具や防寒具は身につけていませんでした。寒気が来ていてかつ風が強く雪が降るという悪天候の中、入山するにはあまりにもふさわしくない服装です。

大雪山には地形的厳しさはなく滑落などの危険もほとんどありません。天候さえ良ければ、展望を眺めながらお散歩気分で登山を楽しめます。でも、気象的には大変厳しい山なのです。気温は低く、風が吹けば隠れる場所もありません。現に、今朝8時の旭岳山頂の気温は2.5℃。少し風が吹けばすぐに体感気温は氷点下となります。また、人工物がほとんどないのも特徴で、少し歩けば営業小屋がある山域とは勝手が違います。

こんな山で自らの身を守るには装備をしっかりするより他にありません。雨具は必携(明記する必要すらないほどに当たり前のことなのですが)、防寒具も必携。大雪山に慣れた登山者なら、真夏でもダウンジャケットを持ち歩いています。身につけるものは綿製品を避けて登山用の化学繊維のものを。帽子や手袋は暖かいものを替えも含めて。魔法瓶に入れた暖かい飲み物と、熱量の高い食べ物も。ごく当たり前のこの程度の準備をするだけでいいのです。今までに大雪山で起きた遭難死の多くが、雨で濡れ強風に吹かれた結果の低体温症なのです。

大雪山は、そのたおやかな外見の内側に、途方もなく厳しい一面を隠し持っていることを、決して忘れないでください。

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