宿の女将さんに誘われて、宿泊客全員で囲んだ昨日の夕食の席。全員といっても6人しかいなかったので、こぢんまりとしたものですが、それだけに会話が弾み心の距離が縮まる気がします。その中には当然山中で出会った二人も含まれていて、屋久島のあれやこれやの話で盛り上がりました。普段の生活では出会わないような年齢・職業・地域の人と交わりを持てるのも旅ならではのことです。
その席で屋久島をレンタカーで一周するのが良いという話を聞きました。しかも料金は思いの外安いのだとか。今日は夕方の高速フェリーで指宿に向かう予定です。出発までの時間をどう使うか。天気さえ良ければ宮之浦に近い展望の山・愛子岳登山をしようと思っていましたが、この空模様ではそれも気が進みません。それなら、ということで6時間3000円で車を借りました。1周約100kmの屋久島は、6時間もあればゆっくり回ってもお釣りがくるはずです。








車を返却するとフェリーターミナルへの送迎サービスがありました。歩けない距離ではありませんが、ありがたく使わせてもらいます。

ちなみにこの指宿行きは元々の予定にないことでした。当初、屋久島へは鹿児島からの往復を考えていました。出発前におおざっぱな予定を立てたときには、指宿行きのフェリーがあるとは知らなかったためです。明日は開聞岳に登るつもりでいますから、鹿児島よりも指宿の方が距離も近く好都合。指宿行きのフェリーがあるのならまさに渡りに船。旅の予定なんてあってないようなもの、これに乗らずになんとする。さあ行こう見知らぬ町へ!
なんて盛り上がって急遽予定を変更したものの、指宿港に着いた瞬間愕然としてしまいました。フェリーターミナルというものは往々にして町はずれにあり、しかも小さなターミナルには周辺地図なんていう気の利いたものは置いていないのです。だって、乗客のほとんどがタクシーを使ったり、お迎えが来ていたりするのですからそんなものは必要ありません。地図を欲するような徒歩利用者は皆無に等しいのでしょう。
もう辺りは真っ暗で、そして地図もない。いったいここからどうやって町に出たものか。皆目見当がつきません。それでも旅の経験は一応積んできていますから、こんなときでも緊張したり動揺したりしなくなりました。とりあえず適当に歩いてみようか、と心を決めたところで、見知らぬおじさんに声をかけられました。
「駅までなら乗せるけど」
「お願いします!」
間髪いれず答えた私が乗せてもらったのは、どこやらのホテルのシャトルバス。2台仕立てでお客様を迎えに来たものの1台で間に合ってしまい、駅近くのホテルまで空で帰るところだったそうです。大きなザックを持ってタクシーも頼まず歩き出そうとしている私を見て、思わず声をかけてくださったわけです。
今まで旅先でこのようなご厚意をたくさん受けてきました。感謝の念はとても言葉で表せるようなものではありません。私にできることは、旅先で受けた恩を、誰か次の旅人にお返しすることなのでしょう。
そんなこんなで首尾良く指宿駅まで出てきたものの、駅周辺にはめぼしい安宿はありません。もうすっかり暗くなってしまいました。見知らぬ町でその日の宿が決まっていないというのは人を不安にさせます。

夜行バスの座席よりも快適だな、なんてことを思いながら、ネットカフェの夜は更けていきました。
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