突然ですが、「日本百名山」というものがあります。深田久弥という人が日本中からおすすめの山を百座(※)選んだものであり、それらの山々への紀行文を編んだ書籍のタイトルでもあります。全百のうち北海道には九座あり大雪山国立公園内からは旭岳火山群・十勝岳・トムラウシの三座が選ばれています。
「百名山」という言葉は、今やそれ自体がある種のブランドのようになっています。百座完登すなわち登山の目的、という人がいたり、百名山を冠した団体ツアーや書籍などがそれこそ山のように出回っています。そのため、どの山が百に選ばれているかとか、どうすれば効率よく回れるかなどという情報はよく知られています。ところが、その元となった「本」を実際に読んだことのある人はほとんどいないのではないでしょうか。かく言う私もその一人でした。「百名山」という言葉をあまりに耳にするがゆえに、周辺情報があまりに入ってくるがゆえに、実際にはなにも知らないのに知っている気になってしまうのです。言ってみれば、メロンパンを食べただけでメロンの味を理解した気になっているようなものです。知的怠慢ですよね。
で、この度ようやく、原本に当たることにしました。読んでみた感想。
…ごく普通のガイドブックだよなあ。
何百何千という山に登り、その中からたった百を選び出したことは、素直にすばらしい功績だと思います。でも、どうしてこんなに有名になったのか、どうして登山者を惹きつけて止まないのか、その理由がわかりません。「百名山」というネーミングの妙なのでしょうか?それとも当時としては画期的な内容だったのでしょうか?はたまた、関連業界が商業的に成功を収めただけということでしょうか?謎は深まるばかりです。勉強不足でこれ以上はよくわかりませんが、やっぱり読まなければ気づかないことがあるということですよね。
※ 「座」とは高山を数えるときにつける助数詞です。
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