山楽舎オリジナルプログラムの一環としてビバーク(※)体験というのを企画していたのですが、残念ながらお申し込みがなく不催行となりました。とはいえ、だからといって家で閉じこもっているのもあれなので、一人で行ってきました。行き先はまたまた旭岳山頂。涙の一人ビバーク体験です。
※ビバーク:テントや寝袋を用いず(主に山中で)夜を明かすこと。道に迷ってしまったり、怪我で動けなくなるようなことがあれば、あなたもビバークせざるをえない状況に陥るかも・・・。備えあれば憂いなしです。
やや遅めの時刻に旭岳温泉発。ロープウェイを使わずに歩いて登ることにします。歩き始めは日中の暖かさの名残に包まれましたが、すぐに夕暮れのヒンヤリとした空気に変わりました。エゾマツの間に落ちてゆく太陽を振り返っては進みます。
暮れなずむ青空に延びる雲が夕陽色に染められて。
湿原を通り抜け急登にかかると、さっきよりも遠くが見通せるようになりました。夕焼けの下のシルエットは夕張岳から芦別岳にかけての稜線。
逆光のダケカンバは、なんとなくポーズを取っているようでもあり。
ふと右手を見ると、稜線の上にぽっかり月が出ています。
月と入れ替わるかのように沈む太陽。あの街灯りは旭川のもの。いよいよ昼が終わり夜の世界が始まります。
姿見の池に着いた頃にはすっかり暗闇の中。ヘッドライトの灯りを頼りに一人静かに晩ご飯を食べ、いざ旭岳山頂へ。薄暮から暗闇への時間帯が、闇への恐怖を最も感じるころではないでしょうか。夜になりきってしまえば慣れてしまうのですが、徐々に暗くなっていくあたりには、寂しさとせつなさと心細さに押しつぶされそうになります。
ライトを消して暗闇に目が慣れると、今日の月はなんと明るいことか。旭岳の山腹についている踏み跡がはっきりと判別できますし、岩肌がぼおっと白く輝いているのがわかりますし、砂礫の上に自分の影が落ちているのも見ることができます。
旭岳山頂着は午後8時。登っているときはじんわり汗をかく程度でしたが、立ち止まるとさすがに冷えてきます。前回やたらと寒くてほとんど眠れなかった反省を活かし、防寒には余念がありません。着るものはしっかり着て、くるまるものにはしっかりくるまって、再び山頂標識に背中を預けます。ああ、月明かりがきれいだ・・・。日出までの長い夜の始まりです。
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