2005-02-02

天然の森で

先日、諸般の事情から行きそびれたスノーシュープログラムの下見に行ってきました。

行き先は札幌・円山(標高226m)。アイヌ語ではモ・イワ(小さな山)と呼ばれていたそうで、その名の通りちょっとした丘みたいな山です。幼稚園くらいのころ家族で登った記憶があるくらい気軽に登れる山です。大人の足なら夏で20分くらいでしょうか。

周囲はすっかり都市化・宅地化されていて、麓ぎりぎりまで建物が密集しています。一方でこの山の木々は明治以前からほとんど伐採の手が入っていない天然林なのだそうで、まるで都市の中に浮かぶ緑の小島のような風情があります。

そんな理由もあってか、市民の人気は高く、毎日散歩に来る人や犬の散歩がてら登って来る人も多く、平日の昼にはスーツ姿のサラリーマンが休憩していたりもします。冬でも多くの人が登るようで、今日も登山口から山頂まで夏道と寸分違わぬ踏み跡がしっかりとついていました。

もちろん、スノーシューを使う場合は踏み跡をたどる必要はありません。天然林の中を自由自在に歩けばいいのです。明るい広葉樹の林の中、カツラやハリギリの大木の間を縫っていく。いろいろな動物の足跡を追いかけてみる。ほんの小さな山で、踏み跡がしっかりついているからこそ、そこから外れて林に踏み込んでいく楽しさがまします。ちょっとした背徳感とちょっとした優越感。自分だけが知っている小さな秘密を手に入れたような気持ち。それこそがスノーシューの楽しみなのです。


天然林の中の巨木

山頂につくと、突然視界が開けます。円山の山頂は岩塊の上にあり、札幌市街の眺めがよいことで有名です。今日は天気が良かったので、市街の彼方に白く輝く樺戸山地まで見渡せました。林の間からは小樽の海が見えます。藻岩山もすぐ側に。そして、条件が良ければ、なんと大雪山まで望むことができるそうです。ということは、大雪山からも円山が見えているということですよね。こんな小さな山が見えているだなんて、ちょっと不思議な気がします。


円山山頂から大雪山方面を望む(見えないけど)


登りはそれでも、登山道が視界の端に入るくらいのところを歩いてきたのですが、下りは登山道から全く外れたルートをとりました。ちょっとした沢地形になっているため、市街地は全く見えません。林もより深く、本当に街の側にいるんだろうかと思うほどです。

ほんの1時間ほどの散歩でしたが、スノーシューの醍醐味をぎゅーっと凝縮したようなコースでした。

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