2005-02-14

「磁石」は凄い!

 きのうは、お客さん3・スタッフ2、の都合5名で姿見の池を目指した。
 「目指す」なんていうと大げさな感じがするが、気温-19℃、風速12メートル、視界は30メートルほど。単純計算で体感気温-31℃という条件下では、夏なら"散策"と呼ばれているものが一転"冒険"になる。
 こういう悪条件下では、ヒトの感覚はほとんどアテにならない。本悪的なホワイトアウトになると、一歩先が登り斜面なのか、下りなのかさえ分らなくなる。こういうときに、自分の感覚を信じて行動すると間違いなく遭難する。
 ヒトの脳には無意識に、
1.登りよりも下りを好む
2.歩きにくいところを避ける
という性向があるらしい。さらに個人ごとに右足の脚力が左よりも強かったり、その逆だったりするので、目標物がないと右に曲がったり左に曲がったりする。こんな条件が重なると、同じところをグルグルとまわるリングワンデルングを起こしたり、信じられないことだが、北に向かっているはずが、いつのまにか南へ進んだりする。
 こんなときに頼りになるのが方位磁石だ。今回も、地形図上で目標物に磁石を合わせ、その方向に向かって進む「計器歩行」で、姿見の池を目指した。残念ながら、途中で視界がほとんど利かなくなり、気象条件も悪化したため、途中で戻ることになったが、「冬の旭岳」の厳しさだけは感じていただけたかと思う。
 いまやハイテク化された飛行機や船だが、安全運行のために使われている原理はいまだに磁石と同じだ。「常に同じ方角を指す」という、これ以上単純な原理もないほどの単純な原理が、いかに大切かということを、こんなときに思い知らされる。

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