先日「シーズンに三回」しかないきれいな夕映えの写真を撮り損なって以来、いつ"その時"が来てもいいように、ザックのなかにはNikonF3とフィルム三本を常時備え、日々天気図のチェックを怠らない日々を過ごして来た。
きれいな夕映えが見れる条件はかなり厳しい。
1.日没前30分くらいから日の入りまでの時間帯に、被写体になる山が見えていること。
2.西方向に高い雲がなく、じゅうぶん赤い太陽光線が被写体にあたること。
3.そのときその場所に撮影者がいること。
ビジターセンターN氏のデータによると、1と2が満たされるのがだいたいシーズンに三回くらいだという。さらに3を満たすたのは、普通の生活をしている人には至難の業だ。
前回この条件をすべて満たし、きれいな夕映えの写真を撮ったのが1996年の12月だった。それ以来「あの夢をもう一度」と願いつつも今日まで成就されることはなかった。というわけで、あと一歩のところでベストショットを逃した前回の失敗は、悔やんでも悔やみきれない痛恨の一瞬だったのだ。
あの日以来精進に精進を重ねた甲斐あってか、リベンジの時は意外に早くやって来た。捲土重来、千載一遇、一期一会のチャンスを逃してなるものかと、押っ取り刀で旭岳へ向かった。ビジターセンターで天気図の最終確認を行ってから、テレマークの板にシールをつけて登りはじめる。
二時間ほどで姿見駅まで登り、昼ご飯を食べていると、なんてこった、また曇ってきた。ここで諦めて帰ると前回と同じ結果になりそうだったので、しばらく雲行きを見ていると、午後二時頃から雲が切れ、目の前に真っ白な旭岳が姿を現した。
勇んで外に飛び出す。三時頃から山の色は徐々に黄色くなり、やがてほのかにオレンジ色を帯びてくる。期待に胸は張り裂けんばかりだったが、四時ちかくなって、あろうことか西の空にガスがかかりはじめ、太陽が見え隠れし始めた。夕日が強くあった瞬間に何度かシャッターを押すが、最高に赤くなる一歩手前でついに太陽は雲に隠れた。
残念!だが、ほんのりと色づいた旭岳は映っているはず。最高の瞬間はまたいつか撮れると信じて、暗くなったスキーコースを下った。
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