2010-12-06

関東甲信山行・4日目 八ヶ岳3

11月19日(金) 快晴

朝4時半に腕時計のアラームを合わせていたのに、起きた時には時刻はすでに5時をまわっていました。山の中で寝過ごすなんて今まで経験したことがなかったので、一瞬目を疑ってしまいます。いつもなら起床予定時刻よりも早く目を覚まして寝袋の中でもぞもぞ待機しているというのに。タタミの上に敷いた布団があまりに寝心地が良かったのでしょうか。あわてて飛び起きてまだ暗い階下へと移動します。

暗闇でヘッドランプを灯してごそごそしていると、スタッフの方が起きてきて電気を点けてストーブにも火を入れてくれました。屋根の下で眠れるだけでありがたいことなのに、こんなサービスをしてもらうと恐縮してしまいます。有料の小屋に泊まるというのはこういうことなのですね。「一口に小屋泊まりと言っても本州の営業小屋と北海道の避難小屋では全く質が異なる」というのはよく言われることで、私も理屈ではわかっていたのですが、これでようやく体感できました。何から何まで全て違います。民宿泊と公園の四阿泊くらい違います。

多少寝過ごしたものの、5時50分には準備万端整いました。後は夜明けを待つだけ。歩くのに支障がない程度に薄明るくなってきたのを見計らって、6時を過ぎてから出発。昨晩テレビで見た(これにもびっくりさせられました。ラジオではなくテレビなのですから)天気予報によると今日は一日快晴とのことでしたが、全くその通りになりそうな空です。玄関に掛かっていた気温計はマイナス14度を指しています。

今日は天狗岳・硫黄岳・横岳・赤岳と越えてキレット小屋まで行く予定です。岩場の積雪状態を見ながら進み、どこかでコースを変更する可能性も多分にあります。黒百合ヒュッテを出るとほどなく天狗岳への登りとなります。左が主稜線上の東天狗岳、右が西天狗岳で、後者の標高がわずかに高いそうです。雪が岩を隠して足場のよろしくない箇所が何度か現れますが、山頂に近づくにつれて歩きやすくなります。

登っている最中、左手の山並みから太陽が昇ってきました。どうやらこの方向は甲武信岳方面になるようです。日の出の瞬間を眺めながら山を歩くというのは、なかなかにたまらない快感です。

反対方向に目をやると、真っ白に冠雪した北アルプスが朱色に染まっています。劒岳を中心に左に立山、右に鹿島槍が連なっています(たぶん)。

空が朱に染まるのはほんの一瞬に過ぎません。天狗岳山頂に着いた時には、すっきりとした快晴の青空に変わっていました。

天狗岳山頂からは、南にどっしりと硫黄岳が見えています。その後に頭をのぞかせるのが赤岳。右に並ぶのが阿弥陀岳。

天狗岳を下ってわずかに登り返すとすぐに根石岳です。鞍部に根石山荘があり、煙突から白い煙を漂わせています。二人の登山者が出てきて硫黄岳方面に歩いていくのが見えました。昨日は歩いている途中誰にも会いませんでしたが、今日は先行者ありということになります。

根石山荘を越えるとすぐに樹林帯に入ります。標高2500mを越える稜線上だというに、もさもさ木が密生しているのが未だに信じられません。分岐に「箕冠山」と標識がありました。

箕冠山から一気に150mほど下り、小屋が二つ並ぶ鞍部が夏沢峠。どちらも冬期休業中でした。ここまで見てきたところ、概ね八ヶ岳の北半分の小屋が営業していて、南半分の小屋は休業という感じでしょうか。小屋の脇で休憩していると、根石山荘から来たらしい二人組が追い越していきました。昨日の荒天の中登ってきた人だけが、この時間にこれだけのお天気を楽しめるというご褒美をいただいているわけです。

夏沢峠から硫黄岳まではすっきりと見通しの良い斜面を登っていきます。山頂近くになると大きなケルンが導いてくれるように。

快晴の硫黄岳山頂に到着。標高2760mは今まで訪れた国内の山では最高峰となります。北海道最高峰の旭岳よりも500m近く高いのですが、下界を見下ろした時にそう違いを感じないのは麓との比高が同じくらいだからでしょう。逆に違う点を挙げると、ここよりも高い山がすぐそばに連なっていることでしょうか。

平らな霧ヶ峰とこんもりとした鉢伏山が重なり、その奥に穂高・槍・燕と、訪れたことのない私でさえ聞いたことがあるような有名な山が並んでいます。

諏訪湖の向こうに見えるのは乗鞍岳でしょうか。

さらに南に視線を移すと、あの台形の山はおそらく御嶽山。ここまではいずれも標高3000mを超す山ばかり。

どっしりとした山並みの右端が木曽駒ヶ岳。標高はわずかに3000mを切ります。

西向きの景色は北から南まで180度でこのようになります。

遠景ばかりに気を取られてしまいがちですが、足下の火口跡も荒々しく見応えがあります。

蓼科山から天狗岳を通じて硫黄岳まで。歩いてきた山々を昨日よりはるかにはっきりと見通すことができます。天狗岳の真上に先月登ったばかりの妙高山と火打山も見えています。

横岳方面に続く稜線。白く光り輝いています。

そのわずかに右に赤岳。西面がすっと切れ落ちていて高度感を増しています。

それにしてもなんという青空なのでしょう!こんな快晴は一年に何度もありません。雲が一つもなく、しかも霞むことなく遠くまでくっきりとしています。あまりに素晴らしいお天気なので、思わず自分の写真を撮ってしまいました。いつもはこんなことしないのですが、この空と白い山並みを見ると、やはり撮らずにいられませんでした。

で、なんだかものすごく満足を感じてしまい、ここで下山することにしてしまいました。雪の状態としてはそう悪くはなく、実際さきほど夏沢峠ですれ違った二人も赤岳方面に進んで行きました。でも、なんというのでしょう、上手く説明できませんが、もうお腹いっぱい胸もいっぱいになったのです。

風は比較的強く、太陽がこれだけ降り注いでいてすら冷たさを感じる中、30分たっぷりと写真を撮り景色を眺め、赤岳鉱泉経由で美濃戸口へと下ることにしました。

赤岩の頭までは展望の良いすっきりとした尾根を進み、その先はすぐに樹林帯。標高差400m以上を一気に下ります。樹林帯に入ると風が遮られ、太陽はますます高度を上げ、暑さすら感じるようになりました。途中で上下一枚ずつ脱ぎましたが、それでもまだ暖かいほど。小春日和とはこのことです。

日陰を流れる小川は凍っていましたので、気温自体は氷点下なのでしょうね。

あまりにも施設が立派で腰を抜かしそうになった赤岳鉱泉。背後にそそり立つ横岳との対比がどこか現実離れしています。

赤岳鉱泉から美濃戸口までは、とにかくひたすら長い!という印象です。最初は北沢沿いに進み、その後林道に出て、最後は車道。やまのこ村を越えたあたりの標高1650m付近で雪がなくなりました。

やっとの思いでたどりついた美濃戸口。ここから茅野駅までバスが出ているはず。次の便は・・・1時間半後。広場を夾んで反対側に八ヶ岳山荘という施設があり、「営業中」・「お風呂入れます!」と看板が出ていました。ちょうど上手いこと時間が過ごせそうだと思ったのに、中を覗いてみると電気も点いておらずガランとした雰囲気。大きな声で施設の方を呼ぶと、既に冬期休業に入っているとのことでした。がっくり。せめて外の看板は外して欲しい・・・。期待しちゃうじゃないですか。

幸いかなり早めにバスが到着してくれたので、出発まで車中で待たせてもらいます。運転手さんと色々お話をしてあっという間に時間が過ぎていきました。近辺の山をそこそこ登っているとか、北海道にも何度か旅行に来たことがあるとか。定刻になりバスが動き出した後も、私一人しか乗客がいないこともあり、道すがら見える山を教えてくれたりしました。

茅野に向かう途中、窓から八ヶ岳連山が全部見える場所がありました。一番左の蓼科山から電柱と重なっている硫黄岳まで歩いてきました。そこから右は残念ながら歩きませんでしたが、こうして下界から歩いた山を見上げるのは嬉しいものです。

稜線上にはそこそこ積雪がありましたが、下界から見ると山は真っ黒に見えるのですね。三日間ほとんど雪の上しか歩いていないのに、とてもそうは思えない景色です。


今日の行程
黒百合ヒュッテ-硫黄雄岳-赤岳鉱泉-美濃戸口
 06:07 黒百合ヒュッテ 発
 07:13 天狗岳 着
 08:20 夏沢峠 着
 09:22 硫黄岳 着
 09:51 硫黄岳 発
 11:02 赤岳鉱泉 着
 11:55 堰堤広場 着
 13:30 美濃戸口 着
所要時間:7h23
歩行距離:14.8km
累積標高:+854m/-1756m

2010-12-05

関東甲信山行・3日目 八ヶ岳2

11月18日(木) 曇り一時雪

テントの片隅に置いておいた2リットルほどの水の中に、かなり大きな氷の塊ができていました。薄氷とかではなく、ばりばりの個体でしたから、最低気温は軽く氷点を下回っていたようです。それでも、体感的には思ったよりも寒さ厳しい感じはしませんでした。さすが、冬用装備の数々。重量と嵩を増しても持ってきた甲斐があったというものです。

昨日にも増して硬く結氷している双子池。冷え込みの強さを感じさせます。今日はこれから亀甲池・北横岳・縞枯山荘・麦草峠とどんどん南下していきます。

出発して間もなく訪れる亀甲池から北横岳までの登りは、今日一番大変な箇所かもしれません。標高差にして400m超。見通しの効かない深い樹林の中を一歩一歩登っていきます。ふと木々の連なりが切れたかと思うと、そこはすでに北横岳山頂。濃いガスに包まれて一切視界がありません。

山頂を辞すると再び針葉樹の樹林帯に入り、すぐに北横岳ヒュッテが現れます。ちょうど管理人さんが登ってきたところでした。

玄関に下げられている気温計を拝見すると、9時20分現在の気温はマイナス5度。樹林に覆われていてほとんど風が当たらないからでしょうか、思っていたよりもはるかに低い気温でした。プラス1~2度くらいかと予想していたのですが。ということは日出前の最低気温はマイナス10度以下だったのでしょうね。

北横岳ヒュッテからツルツルに凍った岩の登山道を下っていきます。ここまで登山道上の雪はずっとサラサラに乾いていましたが、初めて氷が現れました。南斜 面ですから、昼間陽光に照らされて融けた雪が夜間に凍ったのでしょう。この先も南向きの登山道には注意しなければならないかもしれません。

下りきると岩に覆われた平坦な広場に出ます。坪庭です。道の左右にロープが張ってあり、ところどころに案内板が立ててあります。大雪山で言えば姿見平のような散策路になっているのでしょう。ロープウェイ山頂駅まで15分という表記もありました。

これは・・・ガンコウランかな?細かい葉にびっしりと氷を纏わせています。近くに寄って見ると、一つ一つの葉に半透明の氷の結晶が着いているのがわかります。姿見平と比べると、池や沢など水気がないのが寂しく感じますが、それでも素敵な景色です。夏には華やかな花が咲き、人で賑わうに違いありません。

草原のただ中にある青い屋根は縞枯山荘です。出発から3時間経ちましたし、ここで長めの休憩を取っていくことにします。こういう営業小屋で休憩するのには慣れていませんので、ドアを開けるのにいささか緊張してしまいます。

入るとすぐ左手にストーブがあり、周りを5人が囲んでいました。真ん中の男性が管理人さんで他の4人の女性はお客さんのようです。ここは避難小屋ではありませんから、ただ入ってぬくぬく休憩するだけではダメなんですよね?どうも勝手がわかりませんが、とりあえず甘酒を注文します。

静岡から来たという女性達と少々お話をします。テントを背負って縦走しているという私に、「三重苦ですね!」とのお言葉。一瞬何のことかよくわかりませんでしたが、聞けば、1)初めての八ヶ岳、2)積雪、3)テント泊の三つが大変だということのようです。確かに初めての山で積雪があるというのはあまり嬉しくはありませんが、今のところ登山道は明確なので特別大変ではありません。雪上での幕営はテントが汚れないのでむしろ喜ばしいくらいです。でも、人によってはこれが「苦」に感じられるというのは新鮮な発見でした。八ヶ岳のように沢山の営業小屋が存在する山域では、「雪の中わざわざテントで・・・」となるのもわかるような気がします。

30分ほど休憩してすっかり体も暖まりました。氷点下の気温の日にストーブにあたりながら温かい甘酒をいただくなんて、これは本当に幸せなことです。

今日の目的地は高見石小屋かその一つ先の黒百合ヒュッテかどちらかまだ決めかねていました。小屋のご主人曰く、時間的に黒百合ヒュッテまで余裕で行ける、とのこと。そのアドバイスに従って、少し長く歩くことにしました。

縞枯山荘を出て小一時間。茶臼岳で休憩していると、突如アラレが降り出してきました。激しい降り様で積雪が見る間に増していきます。さっきとは正反対にとても落ち着いて休憩していられるような状態ではありません。行動食をちょっと飲み物をちょっと口に入れ、すぐに歩き出します。

雪に覆われた麦草峠。雪の上にいくつか車の走った跡がありました。この季節ですら往来があるのですから、夏山シーズンはさぞかし賑わうのでしょう。そういう意味では、車も人もほとんど来ない今の時季は、静かな山歩きを楽しむには好条件と言えます。

麦草峠から1時間で高見石小屋到着。小屋の前の広場の隅っこで休憩します。営業小屋の前庭って、休憩しててもいいのでしょうか?まわりに人がいれば倣うこともできますが、今はひとりぼっちなのでそうもいきません。どうも落ち着かないまま、やはりそそくさと小屋の前を後にします。

中山山頂手前にある展望台に着いたとき、ちょうどそれを待っていたかのように急速に雲が去り、真っ青な空と太陽が現れました。今日初めての光です。積もりたての雪に反射する陽光は爽やかにきらめいています。

来し方を振り返れば、女ノ神茶屋のあたりから、蓼科山・北横岳・縞枯山・茶臼山と、昨日・今日歩いてきた山々を見通すことができます。

中山を越えて中山峠の近くまで進むと、行く手に天狗岳が見えてきます。まったく素晴らしいタイミングで晴れてくれたものです。今日はほとんど一日ガスとアラレの日でしたが、終わりよければすべてよし。晴れ晴れとした気分で床に着けそうです。

どこか民宿然とした黒百合ヒュッテ。空からはすっかり雲がなくなりました。実はこれから今日最大のイベントが始まります。それは、生まれて初めての営業小屋泊まり。そう、今日はテント泊ではなく小屋泊することにしました。さきほど休憩した縞枯山荘はほんの入口付近に入っただけで終わってしまいましたが、今度は全てを目にして体験することができるのです。

二重になった玄関の扉を開けて受付カウンター周辺。奥の座敷にストーブとコタツ、左のハンガーがかかっているあたりにストーブ、そのさらに左手に薪ストーブと、一階だけで沢山の暖房機器が備わっています。

二階はたたみ敷きの寝室となっていてやはり民宿のようです。早速驚かされたのが、布団。布団で寝られることだけでもかなりの驚きですが、スタッフの方が敷いてくれるというのがさらなる驚き、驚愕と言ってもいいかもしれません。さすが有料の営業小屋。恐るべしサービスです。

それにしても、初めての営業小屋泊まりはわからないことだらけ。ザックはどこに置けばいいですか?自炊はどこでしていいですか?水はどこで手に入れるのですか?などなど、あらゆることをいちいちスタッフの皆さんに聞かなければなりません。忙しそうに作業をしている中、お手間を取らせてほんとすみませんでした。

今日の宿泊は私一人。全てのスペースを独占です。一人きりというのは営業小屋としては特殊な状況に違いありません。これで本州の営業小屋を知った気になってはいけないのでしょうね。電球の灯りの下コタツに潜り込んで、山関係の書籍が並ぶ本棚から数冊お借りしてぬくぬく読書三昧。テントで過ごす夜とは違う居心地の良さが、たしかにここにはありました。


今日の行程
双子池-縞枯山荘-麦草峠-黒百合ヒュッテ
 07:03 双子池 発
 08:59 北横岳 着
 09:55 縞枯山草 着
 10:24 縞枯山草 発
 11:20 茶臼山 着
 12:03 麦草峠 着
 13:24 高見石小屋 着
 14:40 中山 着
 15:18 黒百合ヒュッテ 着
所要時間:8h15
歩行距離:13.8km
累積標高:+1341m/-980m

2010-12-04

関東甲信山行・2日目 八ヶ岳1

11月17日(水) 快晴一時ガス

八ヶ岳縦走初日の朝。ホテルの部屋のカーテンを開けると、夜明け直前の淡い青空が広がっていました。幸先の良い出だしになりそうです。あれ、送電線の向こうに見えているのはもしかして八ヶ岳?これから登る山々を眺められるなんて嬉しい演出です。こんなに展望の良い部屋に泊まっていたとは、昨日は気がつきませんでした。

ホテル近くの停留所を8時9分に出るバスに乗ればいいので、あまり早起きをしなくていいのはとても楽です。充分余裕を持って準備をすることができます。今までになくムチムチに詰め込まれたザックは推定30kg超。重いは重いのですが、一人で背負うことができる程度ですから、常識的な範囲でしょう。重さの割に嵩張っているのは防寒具のせいです。

細かく右左折するバスの車内からは、今日最初に登る蓼科山が時に正面に見え、山行気分を盛り上げてくれます。

11月3日までは蓼科山登山口までのバスが運行されていたようですが、さすがにもうオフシーズンということなのでしょう。石臼台という停留所で下車して、そこから車道をテクテクと歩きます。標高は既に1600m程度。日陰には雪が残っています。一般的に車道歩きというものはあまり面白くないものと相場が決まっていますが、この道は景色が良いのでさほど飽きることはありませんでした。カラマツ並木の向こうに蓼科山が見えるなんて、なかなか絵になるではありませんか。

1時間弱で女ノ神茶屋に到着。この時間でシャッターが閉まっているところを見ると、休業中なのかもしれません。この反対側に登山口があります。

登山口からしばらくは背の低い笹原。早速登山道に雪が現れます。蓼科山山頂までは、平坦→急登→平坦→急登→平坦→急登と三度繰り返していくことになります。

急登はいずれも岩がちで、うっすら雪が積もっていて滑りやすくなっています。荷物が重いときにはいつも以上に注意が必要です。この最初の急登が一番きつい登りでした。息はゼーゼーと苦しく、汗はダラダラと流れ落ちます。一歩足を進めわずかに体を持ち上げるだけで一大決心が必要というような状態です。1時間ほど歩いて一度休憩を入れたらようやく落ち着きました。体が縦走仕様に切り替わってくれたようです。

女ノ神茶屋を出てから3時間弱。山頂直下の蓼科山頂ヒュッテに到着しました。山頂は縦走路からわずかに外れていますので、ここに荷物を置いて行きます。重荷から解放されてそれこそ飛ぶような心持ちで大きな岩の上をトントンと駆けていきます。

蓼科山山頂には今まで見たことのないような景色が広がっていました。岩が累々と積み重なっているのはよく目にしますが、これだけ広くて平らなのはちょっと珍しいのではないでしょうか。壮観です。

山頂から眺める景色は一面の雲海でした。雲頂はだいたい2600mくらい。八ヶ岳では赤岳を中心としたあたりだけが雲の上に頭をのぞかせていました。

山頂の合成パノラマ写真はこちら。山頂西端にある方位盤から三角点方面を見ています。右手に見えているのが赤岳等です。それにしても本当に見事に広くて平らな山頂ですね。

蓼科山からは大河原峠経由で双子池に向かいます。日のあたらない北斜面となりますので、雪の量がグンと多くなりました。蓼科山荘までの標高差150mの下りは、岩がちで急坂で雪、と三重苦となっていて神経を使わせられます。山荘から先で斜度は緩くなるものの、登山道は全面積雪となります。

大河原峠で一度車道に出ます。標高2000mを越えた山中に舗装道路が走っているのは、道産子にとっては軽いカルチャーショックです。北海道で標高2000mオーバーの山は大雪山系と日高山脈にしかありません。というか、日高山脈では幌尻岳一峰だけであり、大雪山系でも表大雪中心部以外では点としてパラパラと存するだけです。面的に連続しているのは表大雪中心部のごく一部のみ。高山帯中の高山帯、山奥中の山奥なのです。そういうイメージが染みついていますので、そこに自動販売機があったりすると不思議な気分になってしまいます。

大河原峠からわずかに登ると双子山です。まだ6時間ほどしか歩いていませんが、出発が遅かったので既に日が傾き始めています。こういう広々として展望の良い山頂部は私の好みど真ん中です。できればここでゆったり時間を取りたいところ。テントを張って夜を明かしたいくらいです。でも、八ヶ岳ではテント泊が可能な場所は明確に定められていますから・・・。

右手には逆光で影となった蓼科山が見えています。結構な標高を下ってきていますよね。今日登った分、全部下るかというくらいです。

後ろ髪を引かれながらも、どんどん先を急ぎます。なにせもうすぐ日が沈んでしまうのですから。樹林帯に入りますから、すでに薄暗い感じがしています。

今日のキャンプ地、双子池に到着。山の中にある池としては比較的大きめですが、ほとんど結氷していました。雪の上にテントを張り、結構厚く張った氷を苦労してたたき割って水を汲む。初冬という感じですね。


今日の行程
石臼台-蓼科山-大河原峠-双子池
 08:59 石臼台 発
 09:52 女ノ神茶屋 着
 11:05 2113.3m 着
 12:42 蓼科山 着
 14:29 大河原峠 着
 15:40 双子池 着
所要時間:6h41
歩行距離:12.1km
累積標高:+1222m/-765m

2010-12-03

関東甲信山行・1日目 札幌-茅野

11月16日(火) 晴れ

慌ただしく迎えた出発の朝。8時発の飛行機に乗るため、まだ暗いうちに家を出なければなりません。例によってうっすらと積もった雪を踏んでの旅立ちとなりました。

荷物は今までになく大きく重くなりました。寝袋を冬用にして防寒具もしっかりと持ち、さらに念のためアイゼンとピッケルも装備に加えたからです。奥秩父はともかくとして、八ヶ岳は11月半ばともなれば積雪があるでしょうし、気温もそれなりに低くなるに違いありません。今年は初冠雪も遅く、暖かい11月となっているようですが、準冬山装備で行くほうが安心です。

空港のカウンターで計測した結果、ふくれあがったザックの重さは23kg。水も燃料もまだ入れておらず、食料・カメラ・貴重品・本は手荷物として別にしているのですが、それでも無料で預かってくれる20kgは超えてしまいました。あと3kgなんとかしようと悪戦苦闘してはみたものの、手荷物にまわすにも限界がありますし、そもそもカウンターの前で荷物広げてパッキングし直すというのはちょっと現実的ではありません。出発時刻までの余裕もありませんし、おとなしく超過料金2000円を支払うことにしました。去年まではなんやかやあっても預け荷物は20kg内に納めていたので、やはりいつも以上の重荷になっているのでしょう。

出発前も慌ただしかったのですが、移動にもいろいろとトラブルがありました。まずは飛行機。旅行会社の不始末で飛行機の出発が40分遅れとなりました。なんでも提出された名簿と実際の参加者の名前が異なっていたのだとか。全員が席に着いてから、客室乗務員だけでなく地上勤務職員までもが続々と乗り込んできて、大々的に名前の確認作業を行っていました。30人からの旅行会社のツアー参加者をその場に立たせて一人一人確認していくというのですから大仕事です。乗客への説明がほとんどなく、いつ終わるとしれない作業を待ち続けるのは精神衛生的によろしくありませんでした。

お次はJR。新宿発松本行きの特急が人身事故のため立川で1時間もの立ち往生となりました。出発してまだ20分くらいしか経ってないのに・・・。とはいえ、こちらは車内放送で逐次状況説明をしてくれたので気分的にははるかにマシ。心穏やかに読書に勤しみ、ちょうど新書一冊を読み終わったころに運転再開となりました。目的地・茅野に着いたのは定刻の70分遅れでした。

飛行機とJR、それぞれの遅れを単純に加算すると計110分。ほとんど2時間も予定から遅れてしまいました。出発までの慌ただしさと相まって、なんだか旅の前途が心配になってきます。

茅野市は思ったよりも栄えている地方都市でした。駅から徒歩10分ほどのホテルに入って荷物を置いたらすぐに外出。山に入る前にガスカートリッジを購入しなければなりません。幸いホテルに無料の貸し自転車がありましたので、それにまたがって颯爽と晩秋の街にこぎ出します。

向かった先はホテルから4km弱離れた国道沿いのモンベルショップ諏訪店。自転車のおかげであっという間に到着です。

飛行機で移動するときには、ガスカートリッジなど燃料の購入は真面目に考えておかなければならない問題です。前もって買っておいて飛行機に乗せて持ってくるということができませんから、降りた先の街で買わなくてはならないのです。日程に余裕があったり、何度か訪れたことのある街だったり、レンタカー利用の旅だったりするならまだしも、そうでない場合は予め購入する店を探し、道順を確認し、所要時間を見積もっておかなくてはなりません。コンビニでも買えるようになればこんな苦労をしなくても良いのでしょうが、そんな日は訪れそうもありません。山に着いたはいいけれど燃料がないという事態にならないよう、準備万端整えるのが今のところ必須なのです。

今回も綿密な下調べのおかげで無事にガスカートリッジを手に入れることができました。晴れ晴れとした気分で漕ぐ自転車は快適そのもの。流れゆく景色もどこか悠々として見えます。あとはどこかで適当に晩ご飯を食べるだけ。さっきホテルの近くで見かけたお蕎麦屋さんにでも行ってみようか・・・。長野はお蕎麦が有名でしたよね。

2010-12-02

関東甲信山行 旅の準備

今年で4回目となる道外への山旅。毎年、夏山ツアーと冬山ツアーの端境期を利用して、2週間ほどブラブラ遊び歩く・・・じゃなくて、厳しい自己錬磨に行っています。費用持ち出しで自発的に研修をするというのですから、我ながら仕事熱心で感心してしまいます。

それはともかく。2007年九州2008年四国2009年近畿ときて、今年は八ヶ岳と奥秩父を歩くことにしました。

八ヶ岳も奥秩父も特に関心があったわけではありません。今年はどこへ行こうかと思っていたときに、佐久間が「八ヶ岳なんていいんじゃない?」と助言をくれたのがきっかけだったのです。

八ヶ岳か・・・。それなら飛行機は松本よりも羽田の方が安いから東京往復にしよう、せっかく東京に行くならついでに東京都最高峰の雲取山も登ろう、いや待てよ、たしか八ヶ岳の近くから雲取山まで登山道が繋がっていたはず、ああ金峰山からずっと歩いていけるんだ、そのあたりの山域は奥秩父って言うんだ、じゃあ奥秩父縦走をすればいいか、と、とんとん拍子に旅の概要が決まっていきました。

順番としては、八ヶ岳を北から南に歩き、そのあとで奥秩父を西から東に行けば、長野から東京へと一本線が繋がる感じになります。東京-長野は電車で行き、長野-東京は歩いて帰る。もちろん間は空いているのですが、山旅の動機付けとしては悪くありません。長野・山梨・東京の山を歩くので、関東甲信山行ということになるでしょうか。

そんなこんなで、結構早くから行き先は決まっていたのですが、なんというか今年はやたらと忙しくて、出発までの慌ただしかったこと。いつもなら、最後のツアーを終えて、夏山の後かたづけ仕事をして、冬山の準備仕事をして、全て終えた状態でオフを迎え、スッキリ気持ちよく旅の準備に取りかかります。そういう段階を一つずつ踏んで、旅立ちへの気持ちを徐々に高めていくわけです。

ところが今年は最後のツアーを終えた3日後に出発ということになってしまい、後かたづけも準備もなにもかもをごちゃまぜにして進めなければなりませんでした。出発前夜まで買い出しで走り回っていましたし、荷造りが終わったのはその日の深夜。ザックに適当に道具を放り込んでいったので、テントの支柱とかガスバーナーとか寝袋とか、なにか大事なものを入れ忘れてやしないかと不安で仕方がありません。就寝直前までバタバタして、しかも翌朝の起床は早いときています。これで本当に出発できるんだろうかと、かなり本気で心配していました。

自由意志で旅行にいくはずなのに、なにかに追い立てられるように出発する・・・。こんな気持ちで旅立ちたくはないですよねえ。

帰ってきた

昨日、山旅から帰ってきました。

今年の山旅は何と言ってもこれ。


これにつきます。
詳しくはこれから徐々に更新していきますね。