2009-12-28

年末年始は大忙し

降って湧いたように現れた締切付きの作業。年明け早々に提出しなければならないのですが、本業のツアーや事務仕事の日を抜かすと、実際に使える日はそう多くありません。集中して作業できそうなのは、12月31日と1月2日くらいか・・・。なんだか慌ただしい年末年始になりそうです。

2009-12-27

静かに降り積もった雪

冬の卓越風をまともに受ける姿見平。強風に固められ模様を刻まれた堅雪が一面を覆うことが多い場所ですが、ときには全く風がなく静かに静かに雪が降り積もることもあります。

足下のふわふわの雪に顔を近づけてみてください。ひとつひとつの雪の結晶が、壊れることなくきれいな形のまま積み重なっているのがわかります。結晶の平らな面に陽光が反射してキラキラ光っているのはこんなときです。

顔を上げるとすっきり晴れ渡った空に聳える旭岳。遠近どちらも見事な日でした。

2009-12-26

黒と白

真っ青な快晴の空に太陽が輝き、真っ白な雪面に黒く濃い影を落としていました。沢山の入山者で賑わっているのに、この瞬間だけはどことなく静けさを感じる三段山での一コマです。

2009-12-25

夕暮れの丘

山楽舎BEARでは今シーズンから「晴れたら夕焼けウォーク」というツアーを始めました。「晴れた日の夕方に夕焼け空を見に出かけましょう」という謳い文句で、秘密の絶景ポイントをご案内する1時間程度のお散歩です。

今日はその初日。クリスマスの夕景はこんなでした。

残念ながら大雪山方面は雲に覆われていて見えませんでしたが、日の沈んでいく方角はばっちり空が見えていました。太陽が沈んでいくに連れ、あたりが徐々に薄青くなっていくのは、冬ならでは。夕焼け時に歩くのもなかなかいいものです。

2009-12-13

大雪山自然観察講座

環境省東川自然保護官事務所と大雪の自然を記録する会が主催する大雪山自然観察講座が旭岳温泉街で行われました。今回の講師は我らが佐久間弘。今日私が担当するツアーが中止となりぽっかりとスケジュールが空いたこともあり、せっかくですので代表の働きぶりを見に行ってきました。

ご参加20名という大盛況の今回の講座。「わさび沼の冬とフカフカの新雪を体験しよう」というテーマのもと、旭岳温泉近辺をスノーシューで遊び歩きます。まずは旭岳ビジターセンターで出発前の簡単なレクチャー。

外に出てワサビ沼を目指します。関係者を含めて全27名の大行列は壮観の一言。超少人数制のBEARツアーではとても見られない光景です。

基本的には圧雪されたクロスカントリーコースを歩き、時折新雪の中に踏み出します。点々とウサギの足跡を発見したときには、その足跡がどのようにできたかというのを体全体で再現していました。御大の熱の籠もったレクチャーです。

まあそんなこんなで和やかに終了。お昼の後はスライドショーで締めとなりました。

一見何の脈絡もなく見える一枚の写真。これ実は、10数年前に行われた同内容の講座の模様を写したもので、旭岳ビジターセンターの一角に展示されています。よくよく目を凝らして見てみてください。見覚えのある姿がありませんか・・・?一番左にいる大きいのは、当時東川町に移住してきたばかりの佐久間なのです。当時は一参加者だったのが今では講師となったわけです。時の流れを感じてしまいます。

この写真は旭岳ビジターセンターでいつでも誰でも見られますので、熱烈な佐久間ファンの皆さんは機会があればぜひご覧になってくださいね。

2009-12-11

近畿山行・15日目 金沢-札幌

11月25日(水) 曇り後快晴

今日は午後の便に乗って帰道すればよいので、午前中はまるまるお散歩に当てることにします。昨日はバスを使ってしまいましたが、やはり歩いてこそ見えてくるものや感じられるものが好きなのです。

たとえばこんな何気ない路地を歩くと、その街の普通の生活が見えてくるような気がします。車道が細いというだけで面白いですし、道と家の間に細い川が流れているのも趣があります。

アーケード街でお餅屋さんを発見。ちょうど小腹が空いてきたところです。“まきもち”と“ふくさ”という見慣れないお餅があったので、どんなものなのか尋ねたところ、「どんなものと言われても上手く説明できない」とつれないお答え。あんこが入っているのかどうかとか、何から作られているとか、色々説明のしようはあるはずなのに、一切答える努力をしないのは客商売としてどうなんでしょう?でも、逆に考えると、観光客ズレしていない地元向けの堅実なお店と見ることもでき、そう言う意味では良いお店にあたったのかもしれません。単に何も知らないパートのおばちゃんだったのかもしれませんが。結局どんなお餅かもわからないままいくつか買ってみました。後で食べたところ、昔を思い出させてくれるような素朴な味でした。

12時過ぎに金沢を後にします。小松空港まではJRとバスを乗り継いで。乗った電車はなんだかずいぶんクラシカルな顔をしていました。

車内も懐かしい香りが漂っています。旅先の移動手段としては普通列車が一番好きなので、できるだけ乗るようにしていますが、こんな古めかしい造りのものに出会うことはあまりない気がします。長イス式の車両は大きなザックを持っているときには大変便利なのです。通路の幅が広いから移動するときに邪魔になりませんし、一番端に座ればボックスシートの背中側にザックを立てかけて置いておけるからです。

小松空港でザックを預けるとき、出発時の重量オーバー事件が脳裏をよぎりました。食料は無くなっているし文庫本ももうありません。さすがに制限重量 20kgを越えることはあるまいと思っていたものの、確証がないので若干緊張しました。恐る恐る計量台に乗せると・・・特に何も言われることなく預ってもらえました。良かった。

下界は雲に覆われていて景色を眺めることはできませんでした。その代わり、雲海の向こうに太陽が沈んでいくのをしばらく見ていました。旅の最後の日に見る夕焼けというのは、いつもせつないものです。

新千歳空港で出てきた預け荷物のザックには、見慣れないタグが付いていました。「HEAVY 22kg」。22kg?カウンターでは何も言われませんでしたが、結局制限重量の20kgは越えていたのですね。そう考えると出発時の重さはやはり尋常ではなかったのでしょう。よくまあこんな大荷物を背負って7日間も歩いたものです。今更ながら我ながら驚き呆れてしまいました。

久しぶりの北海道は思ったよりも寒くなくむしろ暖かで、冬の始まりというよりは秋の終わりという感じがします。たっぷり遊んでリフレッシュして・・・もとい厳しい研修を終えて一回り大きく成長して、来るべきスノーシューシーズンに備えることができました。今年ももうすぐ冬がやってきます。

近畿山行・14日目 大阪-金沢

11月24日(火) 雲り

大峯奥駈道を歩いたのみならず、その稜線を間近に眺めることができ、もうすっかり大満足状態。後は北海道に帰るだけです。

ただ帰るだけなのですからおとなしく関空発の便を使えばいいようなものですが、なぜか就航したばかりのエア・ドゥ小松-札幌便を利用するため、わざわざ大阪から金沢に移動しなければなりません。金沢も一度は行きたかった街なのです。

でも、大阪と金沢がこんなに遠いとは思ってもみませんでした。高速バスで4時間20分もかかるなんて!座り疲れて飽き始めたころ、ようやく石川県に入りました。薄曇りの空を背景にしたあの雪を戴いた山が白山でしょうか。

12時少し前に金沢着。いきなり奇妙な建物に圧倒されます。なんとあれは金沢駅。京都といい金沢といい、歴史のある街ほど奇抜な駅を造りたがるのでしょうか。

駅前の宿に荷物を預け、バス1日券を買って観光開始。いつもなら徒歩でウロウロするところなのですが、今回は時間と距離の関係でバス利用としました。城下まち金沢周遊バスを利用すると、効率良く市内をまわれるようです。まずはひがし茶屋街。ちょっと観光客に媚すぎな印象もありますが、1・2本裏通りを覗くと、古い家屋に電機屋さんが入っていたりして、ここで生活が営まれていることを教えてくれます。

次いでやってきたのは金沢城。兼六園には目もくれず、城内散策を開始します。金沢城で面白かったのは石垣。なんか和歌山城でも同じようなことを言っていたような気がしますが、こちらの方がはるかに魅力的でした。というのも、「金沢城の石垣めぐり」なんて看板が立っているほど多くの、そして多様な石垣が残されているからです。

野面積みはほとんど加工せずに積み上げただけの造り。

打ち込みハギ積みは形・大きさをそろえた割石を用いて造ったもの。

切り込みハギ積みは隙間なく真平らに仕上げる造り。

と、そんな色々な技法が施された石垣が城内至る所にあるわけです。ウロウロ見て回るだけで軽く1時間は過ぎていきます。

和歌山城に比べると、金沢城は市民の憩いの場という性質が全くなく、完全に観光地となっているようで、その点はちょっと寂しく感じます。どうも私は、生活の中に息づいている歴史、というものが好きなようです。

その代わりというわけではありませんが、本丸跡の林は鬱蒼としていて見事なものです。生態系まるまる残されているので、多くの動植物が生息しているそうです。こういうのは意識して残したからこそ現在まであるわけで、たとえば札幌や旭川の都市公園の惨状を考えるに、お城の存在というのはそういう意味でも大きいと思わされます。

最後は長町武家屋敷跡へ。武家屋敷そのものよりも用水路にクラクラ魅惑されてしまいました。なんなんでしょうこの佇まい。昨年訪れた伊予西条も水の流れる素敵な街でしたが、金沢も素晴らしいではないですか。

地元出版の本によると、北陸ではカレーがアツイらしいので、夕食にカレーを食し、宿に戻っておやすみなさい。結構歩き疲れました。

近畿山行・13日目 大台ヶ原

11月23日(月) 快晴

1週間かけて歩いた大峯奥駈道をちょっと離れた場所から眺めてみたい、というリクエストにお応えいただき、今日は大峰山脈と谷1つ挟んで東にある大台ヶ原へ連れて行ってもらうことになりました。お天気良さそうですし、景色が楽しみです・・・。

夜半までの雨でしっとりと湿っている駐車場。でも、空は完璧な快晴。チリ一つ浮いていないクッキリハッキリどこまでも見通せそうな青空です。はやる気持ちを抑えながら、さっそく大蛇嵓目指して歩き始めます。

葉を落とした木々の先端が白くキラキラ光っていました。一瞬、凍っているようにも見えましたが、どうやらそういう種類の木のようです。

でも、昨晩冷え込んだのは事実。だって、岩からしたたる滴がツララを作っていましたから。今も太陽からの光を一身に浴びているから暖かいだけで、気温そのものは低めなのです。

あっという間に大蛇嵓。大蛇嵓は断崖絶壁に飛び出した岩稜だそうで、聞くだに恐ろしい場所です。この階段を登れば岩の向こうが・・・。

そうここが大蛇嵓。これは撮ってもらった写真です。そもそも高いところや尖った場所がきらいなので、こんな岩の先端なんて行かずに済ませようと思っていたのですが、写真を撮るからと促されて泣く泣く足を運びました。柵を越えるとすぐ絶壁。そこに向かってゆるゆると下っていくのがまた恐ろしいわけです。見栄を張って笑顔を作ってみたものの、拡大すると引きつっているのがわかることでしょう。

でも、そこからの景色は文句なく絶品です。大峯奥駈道の途中にある山々が見えること見えること。まずは大普賢岳。この山頂に立ったときには深いガスに包まれて何も見えませんでした。

なだらかな山塊は弥山~八経ヶ岳~明星ヶ岳です。ここでもやっぱりガスに巻かれていたのでした。

真ん中の一際尖ってよく目立つのが釈迦ヶ岳。そこから右に伸びる平らな稜線が、孔雀岳~仏生ヶ岳に至る、奥駈道中もっとも気に入ったトレイルです。遠くから見てもやはり平らでなだらかなのでした。

ここから山を眺めるのはもちろん初めてのことですが、苦労して歩いてきた稜線は一目でわかりますし、どこがどのピークかもおおかたわかります。あそこでは雨で辛かったとか、あそこの登りはきつかったとか、あの山から見た朝陽がきれいだったとか、様々なことが思い出されます。



見えている山は右に大普賢岳、中央に八経ヶ岳・釈迦ヶ岳、左に笠捨山。7日間歩いたうちの3~5日目が見えていることになります。吉野と熊野に近い山は標高が低いので隠れてしまっています。

それにしても、縦走した道のほとんどを眺めることができるなんて、こんなに幸せなことがあるでしょうか。今回の大峯奥駈道は半分以上が雨で、あまり天候に恵まれてはいませんでした。でも、最後の最後でこんなふうに締められるなら、心残りのあろうはずがありません。最高の旅の終わり方です。

すっかり満足してしまいましたが、大台ヶ原はまだもう少し歩くことができます。この平らでひろびろとした感じはかなり好ましいトレイルです。

トウヒの立ち枯れが目立つ正木ヶ原。かつては青々とした深い森だったそうです。台風・シカ・観光道路など様々な要因でこうなってしまったのだとか。一見さんの身勝手な意見としては、森よりも笹原のほうが景色を眺められていい、と思ってしまいます。

右手には雄大な熊野灘を眼下に見られます。この海も、大峯奥駈道から遠く眺めた海なのです。

立派すぎる展望台のある日出ヶ岳。長い長い階段登りの末に到着です。

一等三角点の山頂にさらに展望台を作り、これで景色が悪いわけがありません。大峰山脈は当然として、案内板によると遠く富士山まで見えるのだとか。

一昨日同様ここでもラーメンをご馳走になって1時間以上も休憩しました。ここから駐車場まではほんの30分の道のりです。これだけ大展望を楽しんで、それでも4時間ほどで1周できるのですから、ハイキングとしてはこれ以上の山はありません。今日もたくさんの観光の方が登ってきていました。

時間に余裕があったので、帰りに少し寄り道をしました。先ほど大蛇嵓から眺めた大普賢岳の麓へ行き、今度は大台ヶ原を見返そうというのです。クネクネと細い道を慎重に登って、和佐又ヒュッテまで。駐車場から5分ほど歩くと、おお!見えました。ついさっき歩いた大台ヶ原一帯です。やや高度を落とした太陽の光を浴びて、陰影をくっきりさせています。これまた素晴らしい眺めです。

こんな遠いところまで連れてきていただいて、ただただ感謝の一言です。

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今日の行程
駐車場-大蛇嵓-日出ヶ岳-駐車場
 08:32 駐車場 発
 09:20 大蛇嵓 着
 09:50 大蛇嵓 発
 10:54 日出ヶ岳 着
 11:59 日出ヶ岳 発
 12:31 駐車場 着
所要時間:3h59
歩行距離:7.1km
累積標高:±490m

2009-12-10

快晴と夕焼けの旭岳

周期的に快晴が訪れるここのところ。今日も絶好のお天気となりました。いろいろと都合をつけて旭岳へ。

降ったばかりの雪が葉を落とした広葉樹の枝先を飾り、陽光を浴びてキラキラしています。その奥に我らが旭岳。

ロープウェイ山麓駅脇のいつもの雪尺によると、今日の積雪深は90cm弱となっています。ほぼ1週間で40cm程度積もったようです。笹や灌木もだいぶん雪の下に埋まって見えなくなりました。

今シーズン初めてのスキー。雪質はかなり良いのですが、やはり量が足りないですね。スキー場のオープンもまだ先になりそうです。

30分もかからずに第一天女が原に到着。ここでトレースを外れ雪原に入っていきます。今日の目的は登ることでも滑ることでもなく冬山道具のチェックです。新調したスコップで雪を掘り積雪層を観察し、その後スノーソーも用いてショベルコンプレッションテストを行います。新雪からこしまりまできれいに変化していて、破壊は起きず。あまり面白い結果ではありません。ゾンデを組み立てて刺してみると、先端に凍った土が付いてきました。ビーコンの練習は後日。

帰り際、旭岳温泉街にはうっすらとモヤがかかり、そこに夕陽が当たって幻想的な雰囲気となっていました。

振り返れば夕陽に染まる旭岳。今日の色づきは完璧です。こんなきれいになるならちゃんとしたカメラ持ってきて、ちゃんと山が見える場所まで行けば良かった・・・。

旭岳温泉からの下りはほぼ西向きに進むので、夕焼け空を追いかけるような感じです。あまりにきれいだったので思わず車を停めてしまいました。

近畿山行・12日目 大阪

11月22日(日) 晴れ後雨

天気予報によると昼過ぎから雨となるそうです。今日は大阪の街をぶらぶらと散策することにしました。

アウトドア関係のアウトレットショップをいくつかまわり、日本橋でパソコン・カメラ類のお店を冷やかし、梅田の本屋さんをハシゴして奥駈道・修験道関係の書籍を物色し、たったそれだけで1日があっという間に過ぎていきました。

街歩きは山歩きよりはるかに疲れます。おそらくそれは純粋に体力的な問題ではなく、精神的な部分にも疲労が及ぶからではないでしょうか。

本屋さんで、自分のおみやげとして本を二冊購入しました。
「熊野、修験の道を往く 大峯奥駈完全踏破」
「山伏入門 人はなぜ修験に向かうのか?」
せっかく身を持って経験した修験の道ですから、すこしばかり知識も得ておきたいと思いまして。きっと帰りの飛行機の良いお供となってくれるはずです。

2009-12-09

近畿山行・11日目 比叡山

11月21日(土) 晴れ

昨日はいつものように知人宅にお世話になり、今日はいつものように近郊の山を案内してもらいます。行き先は比叡山とのこと。何の予備知識もない上に地図すら持たず、ただひたすら後をついて行くお接待登山です。いつにない経験ができるのでワクワクしてしまいます。

大阪から阪急・京阪・叡山と乗り継いで、歩き始めは修学院駅から。5分もしないうちに目指す山頂が見えるようになります。しばらく川沿いに行くと家並みが途切れ、左右を金網の高い柵に隔てられるようになります。要所々々に「立ち入らないで下さい PLEASE DO NOT ENTER 宮内庁 皇宮警察本部」なる看板が掲げられていて、ものものしさ抜群です。そう一枚金網を隔てればそこは修学院離宮。さすが京の都。皇宮警察なんて単語、初めて目にしました。

登山口でアスファルトから開放されたかと思ったら、今度は深い深い浸食の道に変わりました。2~3mはあるでしょうか。苔の洞門のようでもあり、鎌倉の切通しのようでもあります。それが延々続くのはなかなか壮観です。

尾根に出たところで切通しは終わり、そこで待っていたのは楓の紅葉。赤黄緑の入り交じる葉が陽光を透かして鮮やかなステンドグラスのようです。まだまだ紅葉は色づき始め。京都の紅葉はこれから見頃になっていくのでしょう。

しばらくスギヒノキの木立を登っていきます。ふっと傾斜が緩くなったかと思うと、そこはベンチのある展望台でした。ぱっと景色が開けて京都の街並みが一望できます。

すぐにロープウェイ駅に出て再びアスファルトの道をもう一登り。なにやら俗な施設が現れました。ガーデンミュージアム比叡、だそうです。モネ・ルノアール・ゴッホらの絵画をモチーフにうんたらかんたら。天台宗の本山とフランス印象派との間にどんな関係があるのかは全く理解不可能です。

どうしてそんな施設を訪れたかというと、それはそこから琵琶湖が望めるから。初めて見下ろす日本一の湖。ついさっきは古都を眺め、今度は湖を見る。なかなかどうして、展望の山ではないですか。

でも、一等三角点の置かれた大比叡山頂は、本当にこれが山頂でいいのか!?と言いたくなるような、深い木立に囲まれた平坦地でした。当然遠くは見えず。

道は自然に比叡山の境内に入っていきます。東塔と阿弥陀堂の間を抜け、せっかくですので根本中堂まで寄り道します。そこは登山姿の私たちが浮いてしまうような観光地でした。三連休だからか、お天気がよいからか、はたまた紅葉が始まっているからか、ものすごい人波です。ここに登ってくるまでほとんど人と会わず静かに歩いてきたので、この賑わいには圧倒されてしまいます。

聞けば比叡山は世界遺産に登録されているのだとか。先日の大峯奥駈道に続き、図らずもこの旅二つ目の世界遺産訪問となりました。

この落ち着いた佇まいのお堂は戒壇院。さきほどの喧噪がウソのように静寂に包まれています。ほんの5分ほどの距離なのですが。

静けさを取り戻した散策路を行けば、山王院堂・浄土院・転法輪堂と次々年代物(たぶん)の建物が現れます。ここもまた大峯奥駈道と同じく歴史を訪ねるトレイルなのでした。

転法輪堂を過ぎるとようやく登山道らしい雰囲気となります。ゆるやかな尾根をてくてく歩き、玉体杉でお昼休憩。寒風が吹き付ける中、ガスストーブでラーメンを作ってもらいアツアツをいただきました。寒い時のラーメンほど骨身にしみておいしいものはありません。おもてなししていただくというのは本当にありがたいものです。

休憩中に次々と登山者がやってきて、通り過ぎて行く人あり、同じようにお昼を食べていく人ありで、かなり賑やかな感じでした。この時季このくらいの低山でこれだけの登山者がいるというのは、さすが大都市圏という気がします。旭川近郊の低山だと土日に登っても誰にも会わないこともありますので。

しっかり休憩したら、横高山・水井山と展望のないピークを通過して、一気呵成に下っていきます。こんな可愛らしい道標に導かれ、一路三千院へ。

比叡山にも負けないくらい、というかそれ以上の人出となっている三千院。京都って本当に観光都市なんですね。ふらりと見て周り、最寄のバス停からぎゅうぎゅう詰めのバスで帰途につきます。電車の駅から歩き始め、バス停で歩き終える。公共交通が整備されているからこその縦走ルート。こういうのは北海道の山ではほとんどありえません。近畿の低山の羨ましいところです。

ずいぶん長くバスに揺られ、電車でウトウトして梅田着。締めはもちろん乾杯で!今日は一日ありがとうございました。

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今日の行程
修学院駅-大比叡-水井山-三千院
 08:17 修学院駅 発
 08:45 登山口 着
 10:01 ケーブル山頂駅 着
 10:38 大比叡 着
 12:15 玉体杉 着
 13:05 玉体杉 発
 13:29 水井山 着
 14:43 三千院 着
 15:15 バスのりば 着
所要時間:6h58
歩行距離:16.5km
累積標高:+1359m/-1204m