2012-04-28

トワイライトハイクの楽しみ

夕暮れ時に山を歩くというのはあまりないことです。日帰りにせよ山中泊にせよ、朝早く歩き出して午後早いうちに歩き終えるのが基本だからです。昨日のトワイライトハイクでは普段なかなか経験できない時間帯に歩くことができました。

山頂にて。長く長く伸びる影。

徐々に傾きを増す太陽。雪面の凹凸を強調しています。

浮かぶ雲。青空の色が少しずつ変わり始める時刻。

夕焼け時。エゾマツの向こうに沈みゆく夕陽。

日没まではあとわずか。

下端を沈めた太陽。日本海に面する暑寒別の山々の向こうに隠れて行きました。

普段見ることのない夕景をたっぷりと楽しむことができました。

2012-04-25

春の訪れ2

暖かい日が続き、山の中でもどんどん季節が進んでいます。

つい1週間前には、まだツボミだったリュウキンカも花を咲かせ始めました。

ミズバショウもここで大群落を作るのでしょう。

そして今年初のクマ糞。あまり細かく分解しませんでしたが、なにやら鱗片のようなものが見えていました。フキノトウかなにかでしょうか。

いよいよ春ですね。

旭岳の展望台探索

ピウケナイ山への下見がはやばやと不調に終わったので、帰りはいろいろ寄り道することにしました。まずは旭岳の展望台探索です。

溶岩堤防に乗ると早速見つかりました。展望台その1。

さらに見つけた大きな岩。これに登れば良い景色が見えるかも・・・

おお!思った通り。とはいえ、この周辺はエゾマツの大木が密生していて、この二ヵ所以外旭岳が見える場所はなさそうでした。位置的には良い場所なのですが・・・

その代わり、というわけではありませんが、清水沢があまりにもきれいでした。水底まで透き通る流れと残雪と原生林と青空。鳥のさえずり。

ゆっくりお弁当でも食べたいところですが、冬眠明けのクマの足跡がそこかしこについているので遠慮することに。

下見は残念な結果でしたが、思いがけず新しいツアー候補地を見つけることができました。

ガマ岩からピウケナイ山へ

表大雪の展望台としてすっかり有名になったピウケナイ山。いつもペーパンダムの方から登っていますが、たまには違うコースを開拓しようと、旭岳温泉に向かう途中のガマ岩から歩き出してみました。

ガマ岩から見る旭岳。今日も素晴らしいお天気です。山頂からの景色が楽しみです。

ガマ岩から勇駒別川沿いに進み、清水沢との出合からさらに奥へ。橋をみつけたら林道に乗ります。

溶岩堤防の斜面につけられた林道からは、正面に当麻岳が見えています。

やがて林道はピウケナイ川沿いに進むように。

地形図に記載されている砂防ダムが順々に現れます。しかし!

なんと橋が無くなっているではありませんか!どうやらツアーでこのルートを使うことはできなさそうです。無理して渡っても仕方ないので引き返すことに。

この川さえ渡れればピウケナイ山まであとわずかだったのに・・・

2012-04-23

由緒正しい旭岳

北海道で「旭岳」というと、まず誰の頭にも北海道最高峰のあの旭岳(標高2290.9m)が浮かぶことでしょう。でも、同じ大雪山国立公園内にもう一つ旭岳があることはあまり知られていません。十勝連峰の南端に位置する旭岳(標高1334.8m)がそれです。正確に言うと、知っている人はそれなりに多いのですが、どうしても「有名じゃないほうの旭岳」という扱いを受けています。比べると標高は1000m近く低いし、百名山ではないどころか登山道もないし、ロープウェイや温泉街もないしで、知名度の低さもやむを得ないところではあります。

ところがマイナーなほうの旭岳(標高1334.8m)は、こと三角点名に限っては由緒正しい名前なのです。北海道最高峰・旭岳(標高2290.9m)の山頂に置かれている三角点名は「瓊多窟」で、十勝連峰・旭岳(標高1334.8m)の山頂に置かれている三角点名は「旭岳」だからです。

しかも三角点設置は大正6年(1917年)と古く、これは、小泉秀夫がかの有名な北海道中央高地地学的研究において大雪山の山名を整理する1年前です。有名な旭岳(標高2290.9m)の山名は和人による発見以降二転三転していますが、最終的に「旭岳」と固定化され広まる前に、マイナーな旭岳(標高1334.8m)は既に「旭岳」だったわけです。

思わず力説してしまいました。 判官贔屓というヤツでしょうか。


それはともかく、マイナーな・・・いえ由緒正しい旭岳(標高1334.8m)からの眺めをどうぞ。間近に前富良野が聳え、そこから左手に山列を流して富良野岳・美瑛岳・美瑛富士・扇沼山・白雲岳・有名な旭岳(標高2290.9m)・安足間岳と続きます。絶景です。

こんな絶景の山、マイナーなままでいるのはもったいないような気もしますし、このまま知られずにいてほしいような気もします。

2012-04-22

ホシガラスのおしり

強烈な陽射しを避けて岩陰で休憩していたら、傍らに立つダケカンバの枝にホシガラスがやってきてとまりました。ガーガーと賑やかに。

見上げるとお尻の白が目立ってきれいです。考えてみると、ホシガラスを見るのは地面に降りてハイマツの実などをついばんでいる時が多くて、下から見上げたことはないかもしれません。

失礼ながらかなり長時間じろじろと眺めさせてもらいました。

1日の雪融け量

この時季、暖かい日は最高気温20度を超えることもあり、そんなときは雪融けもぐんぐん進みます。

昨日朝6時30分の旭岳温泉。登山口に置かれている雪尺は1m70cmを指していました。

同日15時15分の旭岳温泉。1m60cmを示す黒線が露出しました。

麓の志比内では最高気温13.7度。約9時間で10cm弱は雪が減るんですね。今日はさらに気温が上がりましたから、さらにぐんと雪融けが進んだことでしょう。今度旭岳温泉に行くのは土曜日の予定です。それまでにどこまで減っているか楽しみです。

2012-04-21

遙か、凡忠別岳

せっかく好天予報が出ている土曜日だというのに、お申込がなくてツアーが中止となってしまいました。残念・・・。と、少しだけがっかりしたら、すぐに気持ちを入れ替えて「一人で趣味の山行に行こう!」。

向かうは忠別川源流部に位置する凡忠別岳。前から気になっていて行きそびれていた山です。 白雲岳から高根ヶ原を経て五色岳に至る表大雪の主脈から、わずかに西に飛び出しています。登山道はなく雪を踏んでいく山ですが、どの登山口からもそれなに距離があるのであまり登られていないかもしれません。

今回は旭岳温泉-小旭岳-高根ヶ原-凡忠別岳と、忠別川をぐるりと巻くルートを使います。

6時30分旭岳温泉発。もうすっかり日が高くなっていて、初夏の訪れを感じさせてくれます。お天気は予報通りばっちり。旭岳もどことなく気持ちよさそうです。

第一天女が原でスキーコースを外れ、二見川を始めいくつかの沢を渡ります。水はかなり流れていますが、探せば安心して渡れるスノーブリッジはいくつもあります。まだ半月くらいは大丈夫でしょうか。

やがてエゾマツの樹林帯を抜け、旭岳がすっきりと見えだします。裾平に到着です。

進行方向右手に目指す凡忠別岳。このまま真っ直ぐ進んでもかなり距離があるように見えますが、実際には左から大きく巻かなければなりません。

小旭岳のコルを過ぎると白雲岳・小白雲岳が現れます。ここからしばらくは小白雲岳を目標に進みます。

小白雲岳手前で雪で埋もれたユウセツ沢川を越え、高根ヶ原に入ります。この大雪原!こんなに気持ちの良い眺めはそうそうありません。正面にちょこんと見えているのは忠別岳です。

平ヶ岳を過ぎると露出したハイマツが煩くなりますが、まだスキーでなんとか通り抜けられる程度には雪が繋がっています。

凡忠別岳手前のコルに到着。凡忠別岳は真っ白な丘に見えます。

山頂到着。ハイマツや矮性の高山植物がわずかに覗いています。

ちなみに山頂到着は11時過ぎ。5時間弱かかりました。一人で歩いて5時間というのはあまりないことなので、やはり凡忠別岳は遠い山なのでしょう。


主脈からひとり距離を置いているだけあって景色は抜群です。まずは忠別岳。

次いで、五色岳・化雲岳・トムラウシ。

もちろん旭岳も。見事な展望台です。

眼下には化雲沢川の流れ。

凡忠別岳からの眺め。旭岳~白雲岳~忠別岳。

凡忠別岳からの眺め。忠別岳~トムラウシ~小化雲岳。

たっぷり景色を楽しんだら帰途につきます。帰りも結構時間がかかりそうです。平坦で変化の少ない歩きというのは、たとえ絶景だったとしても次第に飽きてきますし・・・。

結局、旭岳温泉着は15時過ぎとなりました。帰りの所要時間は3時間半。今日の総歩行距離は28.3km。歩きましたね。

明日はツアーが催行されるし朝も早いので、すぐに帰ってすぐに寝ることにします。

2012-04-20

もうひとつの旭岳

明後日のツアーの下見で、十勝連峰の南端に位置する旭岳に登ってきました。この時季はほんの1~2週間違うだけで、林道の通行状況や山中の融雪状況が一変します。そんなわけでどうしても本番ぎりぎりまで待って下見することが多くなります。

原始が原登山口に向かう林道の途中に秋雲橋があり、例年通りそこまで除雪されています。歩き出してすぐベベルイ林道に入ります。

1時間強、林道を歩いてようやく尾根に取り付きます。すぐに樹林帯を抜けすっきりとした斜面となります。

振り返ると自衛隊の演習場。

標高を上げると雲の中に入ることに。ほとんどなにも見えません。

尾根取り付きから2時間弱で山頂到着。相変わらず何も見えません。氷だか雪だかわからない粒がぶつかってくる中でお昼休憩とします。

帰りはスキーなのでかなり楽できました。尾根20分+林道40分の計1時間。帰り道、車から見る旭岳。雲底が上がってきているようで、さっきまで雲の中だった山頂がはっきり見えていました。もう少し休憩していたら景色も眺められたかも。

山と渓谷5月号

山と渓谷5月号に佐久間の寄稿文が掲載されています。

不定期連載:山の論点で「大雪山の登山道事情」について報告しました。

みなさんぜひお買い求めのうえ、一日三回は熟読してください。顔写真も載っていますのでオススメですよ。

2012-04-19

旭岳ファンクラブ・会員交流ツアー「旭岳をもっと知る山歩き」

旭岳ファンクラブについてはスタッフノートでも今まで何度か取り上げています(たとえば2008年2011年)が、その会員交流ツアーが今日開催されました。今年の交流ツアーのテーマは「旭岳をもっと知る山歩き」。全5回で各回さまざまな角度から私たちのシンボル・旭岳に触れようというものです。

今日第1回目は「旭岳を望む絶景ポイント」と題して、私が案内役を務めました。旭岳は北海道最高峰ですから、その頂に立って周囲を眺めるのも当然素晴らしいのですが、遠くから眺めても様になります。そんな絶景ポイントに訪れてみます。

ガマ岩発、三等三角点・勇駒別経由で雪に覆われた沼を目指します。基本的に樹林帯ですが、途中で何カ所か木が切れて見晴らしが効ききます。そして一番の展望は沼から。今日は曇り予報ですが、旭岳は顔を出してくれるでしょうか。

未明に降ったであろう雨が小さな葉にくっついていました。お天気はこれから上り坂?それとも?

三等三角点・勇駒別到着。ここはほとんど展望なし。この界隈は最近訪れる人が多くなっているようで嬉しい限り。もっと旭岳山麓の良さをたくさんの人に知ってほしいものです。

沼の手前にある大きなトドマツ。ここまで大きなトドマツは他では見たことがありません。みんなで幹を囲むのはお約束。太い木を見るとどうしてもやりたくなりますよね。

沼に到着。せっかくなので夏には水面になるところまで入っていって記念写真。晴れていれば後のエゾマツ林の上に旭岳が見えるのですが、今日はお預けとなってしまいました。まあいいでしょう。私たち地元の人間はまたいつでも来れば良いのですから。そんなわけで来年の交流ツアーで再訪したいと思います。

沼に到着する直前から降り出した雨。どんどん強くなってくるのでツェルトを張って雨宿り。一つ屋根の下、膝つき合わせてお昼を食べると、それだけで親密感がいや増します。

雨宿りとおしゃべりの時間をたっぷりとってから帰途につきます。帰りは当然違うルートで。尻滑りも楽しめました。

お天気はイマイチでしたが、和やかに楽しい一日でした。ご参加くださった皆様、ありがとうございます。また次の交流ツアーでお会いしましょう!


*旭岳ファンクラブは会員募集中です。年会費たった1000円で、私や佐久間が執筆陣に名を連ねる会報が4回も送られてきます。ご興味のある方はぜひお問い合せください。宛先は山楽舎へどうぞ!