2005-07-29

お泊まり

明日・明後日の一泊二日で、山楽舎BEAR初の山中泊プログラムが催行されます。沼ノ原から入山し、忠別小屋で夜を明かし、白雲小屋・緑岳を経て高原温泉に下る行程。日帰りではなかなか行けない高根ヶ原を歩けるのがウリです。おかげさまで、キャンセル待ちが出るほどの大好評を博しています。台風やらなにやらで心配された天候も、予報を見る限り好転してきているようで、ほっとしました。

全員分の夕食・朝食、火器・鍋、テントなどは共同装備として私たち二人が持つので、一人で山に行くよりも荷物は多少多くなります。

こんな感じに。80リットルのザックがちょうど良い具合に詰まっています。でも一泊しかしないので、重さはたいしたことはありません。体がなまってしまわないように、たまに適度な負荷をかけないと。

それよりも、キツイのは起床時間です。明日の目覚ましは、2時半にあわせました。一般的にはまだ夜です。未明です。いかに朝早い仕事とはいえ、こんな時間に起きるのはさすがに初めてです。今日は8時くらいに寝ないと・・・。

2005-07-28

台風のばかあ・・・

<7月27日 天気:台風>
 朝からロープウェイ運休

大阪から来てくれたお客さんを案内して、旭岳~黒岳縦走をする予定でした。6時の始発ロープウェイに乗る予定で早めに山麓駅に到着。ところが肝心のロープウェイが動いていません。駅舎でしばらく待ちましたが、運行する気配はありません。台風が北海道に近づきつつある状況ですから当然と言えば当然です。ロープウェイは強風に弱いものですから。出発があまり遅くなると黒岳側のリフト最終に間に合わなくなるので、結局この日の縦走はあきらめました。お客さんに日程の余裕があるということで、縦走は一日延期。予報では天候は回復するそうです。明日に期待しましょう。


<7月28日 天気:雨>
 またしても朝からロープウェイ運休

なんだか昨日よりも天候が悪い・・・。風も強そうだ・・・。と思ったら、案の定「ロープウェイ運休」。がっくし。北海道の東海上を通り過ぎた台風の影響をまだ受けている模様です。昨日よりも長いこと駅舎でねばりましたが、やはり運行する気配はありません。はるばる大阪から来てもらって、しかも日程を一日延期してもらって、それなのにまさか二日連続でロープウェイが朝から運休するなんて・・・。ばかばかばかばか、台風のばかあ。
これに懲りずに、また大雪山に来てくださいね。

2005-07-27

登山者の"程度"

 7月22日からヒサゴ沼キャンプサイトで三泊した。よほどのもの好きでもない限り、日帰りでは行けない場所だけに、山好きにとっては憧れの場所になっている"聖地"だが、ここで見かけた登山者の行状については、一方では「やっぱり」と納得し、その一方で「いまだにこのレベルか」とガッカリした。

 登山者の"程度"を如実に示す例を以下に紹介しよう。

水場:本来の水場はキャンプサイトから10分ほど歩いた斜面にあるのだが、ことしは雪解けが遅く、キャンプサイトの近くに雪解け水を汲める流れ込みがあり、ここが臨時の水場になっている。水汲みに行ってまずガッカリしたのは、水底に米粒が沈んでいたこと。富栄養化や水質汚染の原因になるので、水場での米とぎや洗い物はしないのが、もはや山ヤの常識だと思っていたので、いまだにやっている人がいるとは思わなかった。二メートルほど下はヒサゴ沼の水面なので、洗い物をした水や米のとぎ汁は直接沼に入る。すぐ近くにはエゾサンショウウオが泳いでいるのに‥‥。

トイレ:大量のハエが元気に飛び回り、強烈なアンモニア臭がたちこめるトイレは「なんとかしてくれ」と登山者からの要望が多いらしいが、糞尿の分解の邪魔になるので「持ち帰り」が求められている使用済みの紙については、そのまま便槽に捨てていく登山者が多いようだ。

ツアー:ヒサゴ沼避難小屋は小さく狭い。利用者が不快感を感じない収容人数はせいぜい三十人程度だろう。そんな小さな小屋に十人以上のお客を連れたツアー団体が押し寄せると、小屋の中は酸欠になりそうな息苦しさだ。狭い小屋を少しでも多くの人たちが利用するには、お客さんはともかく、スタッフはテントを持参して外で寝るのが常識だと思うのだが、それもしない。小屋に早々と着いて広いスペースを確保していた個人客が"既得権"を主張し、後から来たツアー客が場所をあけろと言い、狭い小屋の中で喧嘩がはじまる。「見ったくない」光景だ。

登山道:沼からトムラウシ山へ向かうルートは地図上ではひとつしかないのだが、じつは地図に載っていない短縮ルートがある。植物帯を突っ切るこのルートは、植生保護のため現在は進入禁止になっているのだが、それを承知で利用する登山者が後を絶たない。わずか15分ほどの時間短縮なのだが、それだけのために、植生の回復をはからなくてはならない場所が踏みつけられる。そのくせ咲いている花をみると「きれい」だなんて歓声を上げるのだ。ヤレヤレ‥‥。

 書いているうちに気分が暗くなっていくのでこのへんで止めておくが、小屋利用についての登山者の意識調査のために、帯広から来ている十勝支庁の職員の方は、ここのキャンプ場にテントを張って登山者と日々接しているうちに「おなじ山登りをするものとして情けない」気持ちになると言っていた。筆者もまったく同じ感想だ。
 狭い小屋を広くしろとか、汚いトイレを立て替えろと要求する前に、自分たちの行状をすこしは振り返って欲しいものだ。

2005-07-25

花の富良野岳

昨日、富良野岳に行ってきました。いやー、花がいいですねえ。さすがは花の百名山。日曜ということもあり、登山者でにぎわっていました。

十勝岳温泉からの登山道と三峰山への縦走路が交わるところがちょっとした休憩場になっていますが、そこから富良野岳山頂までがお花の見所。

とっても小さくて、他の花の豪勢さに紛れてしまいがちなヒメイワショウブ。

登山道から少し離れたところに咲いていたミヤマオグルマ。

表大雪ではあまり見られないエゾルリソウ。はかなげな薄い色味がなんとも言えません。

本州から来たお客さんに、「あの花はないんですか?」とよく聞かれるコイワカガミ。富良野岳なら沢山見られますよ。

その他にも、ミヤマアズマギクやらチシマノキンバイソウやらが斜面いっぱいに咲き乱れていましたよ。チングルマなんかもまだ綿毛になっていませんでしたし、今週末まで見頃が続きそうな感じです。土日あたりに富良野岳でお花見、いかがですか?

2005-07-24

雲の上

後輩の調査に同行して、二日目。一晩を上ホロカ小屋で過ごしました。前日は一日ガスの中だったのですが、朝起きるとなんと快晴。目の覚めるような青。早起きは三文の得と言いますが(最近とんと聞かなくなった気もしますが・・・)、すばらしい風景を見ることができました。


青空の下の上ホロカ避難小屋


そして、単に青空が広がっているだけではなく・・・足下には雲海が!下界の人達は雲の下にいるのかと思うと、何か妙な優越感がわき上がってきます。


雲海に浮かぶ富良野岳


小屋から目と鼻の先にある上ホロカメトッ。切り立った断崖を明けの月が見下ろしていました。明け方の山景はなかなか見られるものではありませんが、それを見られることこそ山中泊の良さではないでしょうか。


今週末に1本、8月中に2本山中泊のプログラムが入っています。お客さんと一緒にこんな景色が見られたらなあ。見て欲しいなあ。今から行いに気をつけよう・・・

2005-07-23

調査は楽し

大学院時代の先輩が、後輩達の調査の面倒を見るため大雪山にやってきました。全部で1週間ほどこちらに滞在するそうです。土日にぽっかりと予定が空いていたので、彼らに同行して十勝連峰に行ってきました。

修士論文に向けて一生懸命調査に取り組む後輩の姿を見ることで、自分もがんばらないとならないと思いを新たにできますし、後輩達を導く先輩と議論することで知的刺激を受けられます。

たまに違うことをすると、仕事への意欲が高まるものです。これで忙しい夏を乗り切ろう。


登山道脇で火山灰を観察する二人

2005-07-22

弁当考

夏場はちょっと気を抜くとすぐに間が空いてしまう・・・

さて。
旅行代理店からの仕事を受けると、お昼にお弁当が支給されます(場合によっては朝も)。というわけで、ツアー続きのこの時期は毎日のように山でお弁当を食べることになります。お弁当の内容は、その時々で様々です。

思えば、今までずいぶんいろいろな種類を食べてきたものです。おにぎり二個とタクアンだけのシンプルなもの。弁当箱が紙でできていて、食べ終わったら小さく畳めるもの。おかずの種類も、量も、味も本当にさまざまです。中には山にふさわしくないものもあったっけ・・・。

というか、まさに今日久しぶりにすごいお弁当にめぐり会ってしまいました。味は良かったです。量も多めで私にはぴったり。種類も多彩で飽きさせません。では何が山にふさわしくないかというと、弁当が入っている箱が大きすぎるのです。バスの中や公園で食べるならいいのでしょうし、たぶんお弁当屋さんもそれを想定しているのでしょうが、いかんせん山の中に持って行くには適しません。だって、ザックに入れるのに横にしなければならないのですから。案の定、歩いているうちにご飯は偏るわ、おかずが混ざってぐちゃぐちゃになるわ、汁が外に漏れ出すわ。せっかくのお弁当が食べる頃には大変なことに・・・。

お願いですから、山のお弁当はパッキングしやすい大きさと形にしてください・・・。代理店さんも注文するときに一言「山用」と言い添えてくださいね・・・。

2005-07-18

仰天三題

海の日の三連休も今日で終わり。夏山シーズンも一段落着いたところで、今年見たとんでもないものをご紹介します。自分の胸の中だけにしまっておくと辛くなってしまうから・・・。穴を掘って叫ばなくても、ネットで公開すればいいのですから、良い時代になったものです。

一. 姿見の犬

六月のある日のこと。残雪多い姿見の池で犬が三匹散歩をしていました。ロープウェイはペット乗車禁止なのになぜ犬が?答えは簡単、下から三時間かけて残雪の道を登ってきたそうです。そんな軽装でよくもまあ・・・。犬の散歩にはちょっとハードすぎやしませんか?
国立公園などの自然地域にペットを連れ込むのはやめましょうね。生態系を乱す可能性が大ですし、ペットの健康にもよくないですよ。

一. 姿見の池の人
これは写真を撮れなかったのが残念なくらい。同じく六月のある日。登山道や遊歩道に張られているロープを乗り越える人は今でもたまに見かけます。きれいな花を近くでみたいがためだったり、用を足すためだったり。でもこの日であったこの人は、そんな行動をはるかに超越していました。長靴を履いてきたその人は、なんと姿見の池の中にいたのです。池の中ですよ。ええ。注意しても話をはぐらかすばかり。こっちの話を聞かないばかりか、持っていたペットボトルで池の水を汲みだす始末。
会話が成立しないというのはかなりストレスがたまります・・・。

一. たき火
これは今日のこと。出会いたてほやほやの出来事。旭岳温泉周辺の遊歩道で、いかにも登山のベテランらしき三人組がなにやらしています。どうやらたき火のようです。拾い集めたのか自分たちのものなのか、ゴミを集めて燃やしているようで、道路上にかなり盛大な炎があがっていました。しかもそばに生えている笹を刈り取って火にくべて。
直火は土壌中の微生物を殺し、やはり生態系を乱します。やめてもらうようお願いすると、消す手段がないから燃え尽きるまで待ってほしいなどとのたまいましたよ。消せない火をつけちゃダメでしょうに。いい大人が・・・。今日は午前中いっぱいロープウェイが運休していたので、暇つぶしに火遊びでもしてたのでしょうか?

夏山シーズンが始まってまだたったの一ヶ月。ずいぶんとんでもない出来事に出会ったもんです。

2005-07-17

三連休

今日は三連休の中日。大雪山にもいつもより多くの登山者がやってきていたようです。温泉街の宿も山の上の小屋もロープウェイも登山道もどこもかしこもにぎわっていました。
今日も仕事で山を歩いていましたが、道中、顔見知りに会うわ会うわ。いつもツアーに来てくれるお客さんだったり、講演会で知り合った方だったり。そもそも今日の仕事自体、一年ぶりに会う馴染みの団体さんだったし、おまけに大学時代の友人との再会まである始末。
みんな連休を使って山に来るんだなあ、と連休に関係なく山漬けな私は妙に関心してしまいました。いつもは静かな大雪山。たまに賑やかなのもいいものです。

2005-07-14

なっきー激写

ナキウサギを写真に収めるのは存外難しいものです。声はよく聞くけれど、どこにいるのかなかなか見つけられないし、見つけたとしてもずいぶん遠くにいたりします。たかだか3倍ズームのデジカメではきれいに写るものではありません。だから、いままでで一番いいナキウサギの写真はこれ(↓)でした。

言われてみればナキウサギかなあ、という程度のものです。いつか良い写真を撮ってみたいと思い続けて苦節4年。とうとう傑作写真をものしました。

どうですか?自慢してもいいですか?
黒岳石室からポン黒岳に向かって登る途中、ヤツは突然登山道上にその姿を表しました。歩く方向にいるので、一歩一歩近づくことになるのですが、なかなか逃げません。肝が据わっているのか単に鈍感なだけのか。最終的にヤツとの距離は3mくらいにまでなりました。ほとんどモデル状態で、写真も撮り放題。思いがけず良い写真が撮れました。めでたしめでたし。

2005-07-10

霧の花見もいいもんだ

赤岳-黒岳縦走コースの下見に行ってきました。この日は、午後からは雨が降るとの予報で、山の上はすっかりガスに覆われていました。

数メートル先の登山道が、白く濁ってよく見えません。そんな中、目を楽しませてくれるのは、足下に咲く色とりどりの高山植物。特に、赤岳から小泉岳に至る道中は、今まさに旬。ガスの中にいることなどすっかり忘れて、ただただ下ばかりを眺めていました。

まずは、チョウノスケソウ。

続いて、エゾオヤマノエンドウ。

さらに、ホソバウルップソウ。

おまけに、キバナシオガマ。

次から次へと現れ、しかもそのどれもが、この時期この場所でしか見られないのですから、ありがたみも一入です。

視界の効かない山というのは、一般にあまり好まれてはいませんが、1人静かに高山植物のお花見をするのには結構いいものですよ。

2005-07-09

オドロキヤチブキオオカメノキ

花の図鑑をつらつらとめくっていると、驚愕の事実に遭遇してしまいました。

シラネアオイという花について、ある図鑑ではキンポウゲ科としているのに、他の図鑑ではシラネアオイ科に分類されているのです!一瞬、「誤植?」と思ったものの、植物に詳しい知人に確認してみると、どうやら分類学上の見解の違いらしいです。

えー、そんなのってありなんですか?いや、研究の最前線で分類について熱い議論を戦わせるのは結構ですが、一般に出回る図鑑では多数意見とか定説を載っけるべきではないのかと。もしくは、異なる分類をする説もある、とかなんとか書き添えておくとか。だいたい図鑑なんて普通は一つしか持ってないのですから、見比べなければわからない事実というのは困りものなのではないでしょうか。

それとも、図鑑の世界ではこんなのは日常茶飯事?他にもこういうことが結構あるのかも・・・


問題のシラネアオイ
キンポウゲ科?シラネアオイ科?

2005-07-08

気をつけよう甘い言葉と古い靴

一年に一度くらい、登山靴のソールがはがれる事件に遭遇します。

長年、下駄箱の中やタンスの中に使われずにしまわれていた登山靴は、知らないうちにソール部が劣化してしまいます。見た目ではそうとわかりませんが、歩き出すとすぐに接合部からパン屑状のものがこぼれだし、小一時間も経つと靴から離れたソールがベロンベロンと音を立てだします。そうなると歩くことは困難になり、登山を続けることができなくなります。その日が雲一つない快晴だったりすると、目も当てられません。それに、靴が駄目になってしまえば、下山もままならないなんて事態も考えられます。もはや遭難の一歩手前。せっかくの山行を楽しいものにするためにも、5~6年使っていない登山靴を使う時には、山に来る前に試し履きをすることをおすすめします。


常備している針金とペンチで応急処置

2005-07-06

夏を感じる時

目覚ましを朝3時半にセットしました。明日は3時半起き、4時発、5時半層雲峡着、6時の始発ロープウェイ乗車の予定で、黒岳-旭岳縦走ツアーに行ってきます。ここのところ毎日5時前には起きているので早寝早起きには耐性がついているのですが、それでも3時半起きには緊張感が漂います。

今日は早めに寝なきゃ、とか。
さすがに二度寝はしないだろうな、とか。
目覚ましは一個でいいかな?とか。
目覚まし、ホントに鳴るんだろうな、とか。

この不安感、この緊張感こそ、夏なんですよ。

さて、もう一回目覚まし確認しとこ・・・。

2005-07-05

おしてる

遅ればせながら、6月28日分の記事を投稿しました。29日ニペソツ、30日天塩岳の分はいったいいつになることやら。

2005-07-04

忙しいのはいいことだ

朝4時半起床・夜11時半就寝という生活のリズムで、毎日山に登っています。どんどん体が夏山仕様になっていくのがわかり、身体的には言うことのない日々を過ごしています。
でも一方で、スタッフノートの更新もままならないほど事務作業が滞っています。書きたいことはたくさんあるのに・・・。6月28日~30日の下見ツアーの時も、面白い出来事があったし、7月2日と4日に行ったツアーの催行報告もまだ終わっていません。1日30時間くらい欲しいものです。
明日からも2週間ほどはまとまった時間がとれそうもないので、当分文章を書けない日々が続きそうです。

2005-07-01

夏山三昧

6月28日から30日にかけて、2泊3日の下見ツアーに行ってきました。
行程は、

・1日目:東川→平山→糠平野営場泊
・2日目:ニペソツ山→天塩岳ヒュッテ泊
・3日目:天塩岳→東川

という、まさに山三昧。
3時半起床などという生活をするため、早寝早起がすっかり身に付いてしまいました。
下見の詳細は、それぞれの日付で記事を書きますので、そちらをご参照ください。

で、今日も下見で十勝岳。明日はツアーで雨竜沼。明後日久々のお休みをはさんで、その後は怒濤の11連ツアー。ほとんど毎日山に行けるすてきな季節がいよいよやってきました。