2005-03-30

めぐりあい網

大学時代の古い友人から突然メールが送られてきました。学部卒業以来ほぼ10年、その間全く連絡をとっていなかったので、嬉しいやら驚いたやら。なんと、このスタッフノートを偶然見つけ、思わずメールを出してしまったのだそうです。

世の中には不思議なことがあるものです。この広いネット上で、たまたま旧友と巡り会うとは。しかも、二人とも山になんか興味はなかったはずなのです。当時からお互いに山好きであったというなら、一人が山の情報を発信する立場になり、もう一人が山の情報を探す立場になっただけで、ここにたどりつくというのもまだありそうな話です。でもそんな潜在的な接点があったわけではありませんから、これはもう縁としかいいようがありません。今度は実際に再会して、一緒に山を歩いてみたいものです。

インターネットが本当に世界に繋がっているのだ、ということを実感した出来事でした。自分がその中でささやかながら発信をして、そしてそれを受けとってくれる人がいて。ブログもやってみるものですね。

2005-03-28

「厳冬の旭岳」から「冬の山麓」へ

 旭川駅でお客さん三名をピックアップして山へ向かう頃から雪が本降りになってきた。東川市街地から旭岳温泉へ向かう途中ではときおり日がさし、回復するかと期待されたが、どうやらそれもぬか喜びに終わる。
 ロープウェー山麓駅の掲示板によると、姿見駅の気温は「-15℃」ということだった。ロープウェーからはうっすらと雪が降り積もったアカエゾマツの森が見えるだけで、遠くの視界はない。
 駅舎で準備運動をし、身支度を整えて外へ出る。視界はほとんどない。コンパスをたよりに第一展望台まで登るが、強風と視界不良で行動は危険と判断し、すぐに駅舎に引き返す。地図と磁石の使い方の話をしたり、お昼ご飯を食べたりして天候の回復を待つが、いっこうに吹雪は収まらないので、12時30分に下山を開始する。
 旧天女が原駅のあたりまで下ると、風は弱まり、静寂の森を楽しむ余裕が出てくる。積雪深は3メートル50センチほど。スキーコースを外れて深雪のなかへ入ると膝くらいまで埋まる。たぶん今シーズン最後になるであろう深雪ラッセルを楽しみつつ、温泉街まで森のなかを下った。
 もうすぐ四月だというのに厳冬の山を体験した一日だった。

さらに旬をはずす

もう2週間以上前のことになりますが、ようやく確定申告を終えました。私たちの場合、月々の給与がいくらという形ではありませんから、申告書を提出するにあたって、売り上げと経費をまとめる作業が必要になります。その結果、一年間働いた成果が如実に数字となって現れるわけです。この1年、特に不自由なく生活してきましたが、改めて収入の数字を見ると、これでよく生活してこれたなあと感じてしまいます。

家賃が安いことや、弁当付きの仕事のおかげで食費が浮くことなど、いろいろと倹約のポイントはありますが、でもおそらく最大の理由は「仕事が趣味」であることに尽きます(「趣味を仕事にした」というほうが正確かもしれません)。仕事が趣味であるおかげで、仕事上の経費以外に余分な出費をしなくても済むのです。

たとえば登山靴を買うとします。それが無ければ仕事にならないから必要に迫られて購入するわけですが、同時にそれは趣味の買物ともなるわけです。女の人がきれいでかわいい靴を欲しいのと同じように、私は歩きやすく履きやすい登山靴が欲しいのです。だから当然、登山靴を買うととても嬉しくなります。そんな調子でザックを買っても雨具を買っても楽しいのですから、自然と仕事道具以外の買物をしなくなります。
また、どこかに遊びに行くということもほとんどありません。山に行ってお客さんと会うことが最大の娯楽であるため、わざわざ他の遊びをする必要がないのです。

仕事と趣味が一致していることが節約に対していかに重要かということがわかります。両者は普通一致しないものと相場が決まっていますから、私の立場は幸運な例外と言えるでしょう。これは見方を変えれば、実は私にはものすごい額の年収があり、そのうちの大部分を「趣味を仕事にすること」に対して支払っているとも考えられるのです。

高い収入を得て趣味に多額を費やすことと、収入は低いけれども趣味に金銭を費やす必要がないこと。一体どちらが良いのでしょうか。

2005-03-26

お彼岸過ぎても極上パウダー

 彼岸を過ぎてすっかり下界は春めいてきていたが、ここへ来て冬に逆戻りしたような天気。とはいえ雪と言ってもしょせん「春の淡雪」、大したことはなかろうとタカをくくって旭岳温泉に向かう。ところがエオルシ・トンネルを抜けたあたりから景色はまるで真冬。標高が高くなるにつれて路面の雪は多くなり、ビジターセンター付近では20センチ近い新雪が積もっていた。とりあえず車を止め、除雪中の職員・Tさんの手伝いをしてから入館する。昨夜からの積雪は40センチだという。さすがに"大雪"山である。
 身支度を整え、「いで湯号」で到着したOさんと二人でスキーコースに出る。登山道入り口で積雪は2メートル70センチ。この冬見たなかでいちばん深い積雪深だ。
 30分ほどスキーコースを登り、第一天女が原の"森の主"(アカエゾマツ)の裏から深雪のなかへ入る。いきなり膝までの積雪。場所によっては膝上まで雪に埋まってしまう。本州では桜の咲いている場所もあるのに、天女が原の雪質は極上のパウダーだ。気温もマイナス5℃以下だろう。日本も以外に広い。
 積雪のおかげで、いつになく低くなった"お化けダケカンバ"の前でお昼にする。一月に来たときより樹高が1メートルほど低くなっているのは、それだけ雪が多くなったためだ。例年旭岳山麓の雪がもっとも深くなるのは三月下旬から四月上旬というのが、この例からも納得できる。
 昼食の後は今シーズンたぶん最後の極上のパウダースノーを思う存分ラッセルして、ワサビ山へ向かう。ちょっと吹雪いて視界は悪いが、期せずして厳冬期の森の景色を目の当たりにする。しばらく展望を楽しんだ後は、ワサビ沼まで一気に下り、クロスカントリーコースへ。パウダーの余韻を楽しみつつ、コース上をゆっくりとビジターセンターへ戻った。

2005-03-23

微妙に旬をはずす

春ですねえ。

暖かくなってきました。雪解けはじゃんじゃん進むし、ここのところストーブはほとんどつけてません。日も長くなりました。18時すぎてもまだ明るいなんて、それだけでうれしくなってしまいます。それもそのはず、3月20日は春分の日だったんですね。暑さも寒さも日の短ささえも彼岸までということなのでしょうか。

ちょうど春分の日の前後、19日と21日にスノーシューツアーを行ったのですが、19日は積もりたての雪を踏みしめる冬のスノーシュー、21日は締まり雪の上を歩く春のスノーシューという感じでとても対照的なツアーとなりました。もちろん、春分の日を境に突然春めいたわけではなく、単に旭岳中腹と札幌市内の低山という全く異なる場所で開催されただけなのです。でも、この違いが春の訪れを示すようで、なんというかとても象徴的な出来事に感じてしまいました。

旭岳もそろそろ春を迎えます。春のスノーシューは、雪の上を好きなように歩けるという冬の楽しさに、雪が堅く締まっているため歩きやすいというお手軽さが加わります。おまけに暖かいから休憩もゆっくりとれます。春ならではの楽しみを探しに旭岳まで遊びに来ませんか?

1000

気がつけば、このスタッフノート訪問者数が1000を超えていました。めでたい。かつ、ありがたいことです。


カウンターを設置してから81日間で1016ですから、1日平均、えーっと・・・、12~13人の訪問があるということになります。

最近、「ホームページ見てるよ」とツアーに参加したお客さんに声をかけられることも増えてきました。もともと、山以外でお客さんとのつながりをつくりたい、と思って始めたスタッフノートですから、そう言ってもらえると嬉しいものです。

しょうもない日常を披露しているようで気恥ずかしい面もあるのですが、これはこれでお客さんの肩の力を抜く効用があるかもしれません。一服の清涼剤として、一粒の梅仁丹(古い?)として、はたまた一枚のガムとして、これからも気分転換に訪れてみてください。

2005-03-21

大惨事

冬場、これがなくては仕事にならないものといえば、スノーシュー。そのスノーシュー様がお壊れあそばされました。昨日のツアー中にふと見ると、なにやら見慣れないものがスノーシュー本体からプラプラと飛び出ています(上の青丸)。


こんなの出てたっけ?としばし悩みましたが、よく見ると金具がぽっきりと折れていたんですね(↓)。


この金具で上の青丸と下の青丸をつないでいたようです。靴をのせる部分とパイプ部分を結合する、いわばスノーシューの胆となる部位です。

そんな大事な金具が壊れた以上、無理して使うわけにはいきません。ツアーの途中からはスノーシューなしのツボ足で歩くことになってしまいました。前にも同じコースをツボ足で歩いた気がするのですが、きっとデジャビュというやつですよね。決して下見の時にスノーシューを忘れてしまったわけではないはずです。

買ってから4シーズン目。よく持ってくれたほうなんでしょうか?金具が一つ折れただけなので、メーカーに修理に出せばすぐ直るとは思うのですが・・・。早く治って帰ってきておくれ。愛スノーシューや。

2005-03-20

がま岩コース

 きのう(3月19日)行われたオリジナルプログラム「がま岩コース」の詳細をホームページに掲載しました。 詳しくはこちらへ。

2005-03-18

引っ越し完了


全部で12往復。ようやく今日の夜、全て運び終えました。運びも運んだりという感じです。事務所2階の8畳間がきれいに埋まってしまいましたから。

ずいぶん沢山のものに囲まれて暮らしているんだなあと思う反面、全部合わせてたったこれだけかとも感じます。旅をしていたときは、大きなザック一つに全ての道具を詰めて、それだけでいろいろな国やいろいろな山を歩き回っていました。特に不自由もなく、これだけあれば人間生きていけるのだと驚いたものです。必要最低限がザック一つだとすると、やはり、今まわりを囲んでいる荷物たちは多すぎなのかもしれません。

2005-03-17

お引っ越し

突然ですが、今住んでいる家を出なければいけなくなり、昨日から引っ越しをしています。ずいぶん急な話だったのもので、まだ新しい住み家が見つかっていないのですが、出るだけは出ないとならないんです。幸か不幸か事務所の2階が空いていたので、そこに一時避難させてもらうことにしました。

荷物はそう多くなく、今の家から事務所までの距離も近いので、業者には頼まないことにしました。一人で運べないような重い家具などはありませんから、作業自体は特に大変ではありません。鼻歌混じりでフンフンとやってしまえます。ところが、移動には苦労させられています。なんせ使えるのは軽自動車一台きり。最近の軽は昔と比べてトランクルームが広くなったとはいえ、所詮は軽。後部座席を倒して、あふれるほど荷物を積んでもたいした量は運べないのです。一度に多くを運べないとなると、残るは回数をこなすしかありません。1日3往復。今日で2日目。これを書き終えたら、6往復目に出発!がんばった甲斐あって、どうやら明日には終わらせられそうです。一人でやっても3日もあればできるんですね。意外と余裕♪

でも、新しい家が見つかったら、今回のと全く同じ作業を、もう一度やらなければならないんですよね。しかたがないこととは言え、なんだか無駄な労力を使っているような・・・。いや、考えるのはやめにしよう・・・。さ、作業作業。

携帯トイレ販売の方向固まる

 十日のこの欄で言及した「携帯トイレ無料配布中止」について、その後新たな動きがあった。
 旭岳側だけではなく層雲峡側でも携帯トイレの販売と回収を行うことになった。ひとまず「ホッとひと息」というところだが、これでトイレ問題が解決されたわけではない。本質的な問題解決に向けて"後戻り"をしなかっただけであることを、もう一度確認したい。
 とはいえ今回の上川町の決定は評価に値する。

2005-03-15

春の陽気に誘われて

朝目を覚ますと、素敵な好天が窓の外に広がっていました。こんな日は家にこもっている場合じゃありません。青空の下の大雪山を撮影するに限ります。事務仕事をすばやく終わらせて、デジカメ片手に車に乗り込みました。

・・・あったかい。このぽかぽか陽気、春ですねえ。

まずは家のすぐ近くで一枚。

歩いて5分くらいでこんな風景を見られるんですから、これ以上に贅沢なことはありません。東川ばんざい。

お次は永山の合同庁舎から。「4階の喫茶室から大雪山の眺めが良い」何人かのお客さんからそう教えてもらっていたもので。

旭岳が旭山の左側に見えるというのは、東川町民にとっては面白い構図です。街並みの向こうの大雪山というのもなかなか乙なものです。

最後に、先週の例の場所へ。農道に除雪が入っていて、前回よりも楽にたどり着くことができました。

何度見ても、言葉もありません。ここに家を建てたいなあ。山側に大きな窓をつけて。コーヒーなんか飲みながら本でも読んで。ふと目を上げるとそこに大雪山。ああ、妄想が止まらない。

おまけの一枚。春の夕暮れ。

どうってことのない景色ですけど、妙に心に残るもので。

2005-03-13

恐るべし、全道版


3月6日読売新聞朝刊(全道版)


北海道新聞に続き、読売新聞にも記事が載りましたのでご紹介します。今度は待望の全道版です。北海道各地のBEARファンのみなさん、お待たせしました。

新聞記事のスキャン画像をネットにアップすることについて法的に考えることはもうやめました。似非法学士には荷が重すぎるもんで。

それはまあともかく。記事の大きさ自体はちょっと小さめですが、なんと今度はカラーですよ。北海道中のお茶の間にカラー写真が行き渡ってしまいました。こんなことならちゃんとおめかしするべきだったわ。んもう。

内容は「DVDができました」という紹介で、前回の道新と同じです。道新の時は、記事が出た日と次の日に、注文・問い合わせが集中しました。そこで、今回も結構電話が来るだろうと予想していました。してはいました。してはいたんですが。恐るべし全道版。予想をはるかに上回る電話が鳴り続けました。北は稚内から南は函館まで。全道各地ありとあらゆるところから注文を受けました。

そして、注文を受けたらすることは唯一つ。DVDを焼くんです。焼きまくるんです。焼きまくるんですよ!でも今回、内職的DVD製造販売に限界を感じました。一定数を超えると、さすがに一人では作りきれなくなります。

次は全国版に進出!と思っていましたが、新聞全国版には何か違うネタで載ることにします。注文関係の記事は製造体制が整うまで待っててください・・・。ガイド内職死、なんて洒落にもなりませんから。

2005-03-12

たいへん長らくお待たせいたしました

 たいへん長らくお待たせいたしました。1月29日の「森コース」の詳細を山樂舍BEARウェブサイトにアップしました。詳しくはこちらへ。

旭岳通信

「旭岳通信」という通信誌があります。東川町を中心に近辺に住む地元の山関係者が集まり作っている超ローカル情報誌です。季刊で1部100円。特集記事あり、連載記事あり、座談会ありで、全6ページ。値段以上の内容がぎっしり詰まっています。

旭岳ビジターセンターまで行かなければ購入できないため、知る人ぞ知る幻のレア通信誌となっています。どのくらいレアかというと、原稿を書いて投稿している私でさえ入手し損ねそうになるほど。今にコレクターズアイテムになって、初期の号は高値で取引されるはずですから、見かけたら買い占めておくのがいいかもしれません。


7号はこんな感じ


わが山楽舎BEARも総力を挙げて協力しており、二人して執筆陣に加わっています。毎度毎度締切りに遅れるので、協力というよりは足を引っ張っているという噂も。もうすぐ第8号が発行されますが、今回も二日遅れの入稿となりました。いや、なんせ、とても忙しいもので・・・(でも、佐久間はいつも締切り前に提出しているそうです。人徳の差か!?)。・・・ごめんなさい。

私と佐久間が書いた雑文をもっと読みたいという奇特な方は、旭岳ビジターセンターに行った折に手に取ってみてください。遠くの方、年間購読すれば郵送もしてもらえますよ。ビジターセンターにご一報を。二人とも匿名で書いていますので、どの記事をどちらが書いたのか推測してみるときっと楽しいに違いありません。

2005-03-10

そろそろ横のつながりを

大雪山での携帯トイレの無料配布が終わり、今年からは販売するようになるそうです。無料が有料になるのは当然といえば当然のことです。今まで駅前で配るティッシュのようにタダで配布していたのがおかしいくらいですから。それよりも、まがりなりにも全域で運営されていた配布回収システムにほころびが出ることを問題視しなければならないでしょう。詳しくは、今日の佐久間の記事を読んでもらうとして。

このトイレ無法状況に対し、私たちガイドはどう対応するべきなのでしょうか。一人一人が眼前の状況を熟考し、自分が最前と思う方法をとるだけでは、もはや対応できないように思います。

たとえば、旅行代理店の集団ツアーの引率を引き受けたとします。集団ツアーのお客さんが自分で携帯トイレを持ってくることはほとんどありません。かといって、40人からなる団体全員分のトイレをガイドが運ぶことは金銭的にも物理的にも不可能です。一方で、生理現象は誰にも止められません。トイレの無い山の中で、40人がトイレに行きたいと訴えてきたら、いったいどうすればいいでしょう?どうにもできません。現場でガイドができることはたかがしれているのです。

では、どうすればいいのでしょう?山の中でできることが限られているとすれば、山に入る前に努力する必要があります。ガイド一人一人にできることがわずかだとすれば、連携するしかありません。大雪山には多くのガイドがいます。狭い世界ですから、それぞれ個人的なつきあいはあります。しかし、連携して今回のような問題にあたるという動きはありませんでした。そろそろガイド同士の横のつながりが必要な時期なのかもしれません。今回のトイレ問題を良いきっかけとしたいところです。

携帯トイレ無料配布中止で、どうなる「山のウンコ」?

 きのうは夕方から『旭岳通信』の座談会に参加した。
 今回のテーマは、「携帯トイレの無料配布中止」について。去年まで北海道上川支庁が行っていた携帯トイレ無料配布が、携帯トイレの普及に効果がなく財政的にもキツいという理由で今シーズンからは行われないことになった。
 4500万円をかけて作った黒岳の"豪華"バイオトイレが、実際にはほとんど糞尿を分解せず、ヘリコプターや人手を使って糞尿を降ろすハメになる結果に終わり、さてこれからどうするのだろう?という時期に、携帯トイレの無料配布中止では、「典型的なハコもの行政」といわれても仕方ない。
 打開策として、旭岳側の東川町は携帯トイレの販売と使用済みトイレの回収を、町として行うことにした(さすが東川町!)が、層雲峡をかかえる上川町では、財政難を理由に、販売も回収もしない方針らしい。「らしい」というのは、まだ決定されたわけではないからそう言うのだが‥‥。
 たとえば、旭岳から黒岳を経て層雲峡へ縦走する場合を考えてみよう。旭岳側で購入した携帯トイレを途中で使用しても、層雲峡側に回収ボックスがなかったらどうなるか?地元の人だったら、家に持ち帰って中身をトイレに捨て、パッケージを「燃えるゴミ」に出すこともできるが、本州から来た登山客にはそれができない。とうぜん、層雲峡のロープウェーやホテルのゴミ箱に捨てることになる。ダメだといっても、そうするより他に仕方がないのだから。
 そうなればロープウェーやホテルからはとうぜん苦情が出る。使っても回収されないとわかっているのだから、ガイドも今までのように携帯トイレを薦めるのは気が引ける。4500万円を私に出資する人がいれば、「大雪山清掃社」でもつくって、夏のあいだのウンコ回収で、冬は悠々自適の暮らしができそうだが‥‥。高橋はるみさん、おカネ出す気ありますか?

2005-03-08

地道が一番

山楽舎BEARでは、プログラム一覧を載せたチラシを季節ごとに作っています。

3~5月のチラシ


今日は旭川にチラシ配りの営業に行ってきました。チラシは「ここぞ」という厳選した場所に置かせていただいています。内訳は、登山専門店が2か所に大型総合店が3か所の計5か所。これがまたいい具合に旭川市内のあちこちに散らばっていて、たったの5か所まわるだけなのに配り終える頃にはすっかりくたくたになってしまいます。普段、テレビもねぇラジオもねぇ車もそれほど走ってねぇ山の中ばかり移動しているので、たまに旭川市内を走ると信号は多いわ交通量は多いわで疲れてしまうようです。でも、こうして配ったチラシを見てツアーに参加してくださる方がいると思えば、このくらいの苦労はどうということはありません。えぇ。

最近、ラジオに出演したり新聞に取り上げられたりとすっかりマスコミづいています。新聞などは反響も大きく、さすがは「マス」と感心してしまいます。でも、所詮は打ち上げ花火みたいなもので、即効性はあるものの日々押し寄せる情報の波の中にすぐに埋没してしまうでしょう。長い目で見ると結局は地道な営業活動こそがものをいうはずです。

とはいえ、実際のところ、チラシを見てツアーに参加してくださった方は今までにたったの一人。地道な営業活動が実を結ぶ日はまだまだ遠そうです。

2005-03-07

ぶんしょうではかきあらわすことができないほどの

あまりの好天につられて、午後から佐久間とスノーシュープログラムの下見にでかけました。目的地はガマ岩コース。来週末に開催されるひさびさに作られた新コースです。

「4月上旬の暖かさ」という天気予報どおり、あたりはすっかり春めいていました。陽の光は強く、空の青は濃く、聞こえてくる川のせせらぎも大きくなっています。ほんの1~2週間前までさらさらだった雪面もすっかり締まっていて、ツボ足でもほとんど埋まりません(スノーシューの下見だというのに、スノーシューを忘れてしまったというのはナイショです)。


下見を終え、日だまりの川辺でお茶を飲んでいると、真っ青な空に飛行機雲ができていきます。地上から見上げる飛行機はどうしてあんなにゆっくり飛んでいるように見えるのでしょう。どことなく長閑で、すっかり一日の締め気分でした。

しかし、今日のクライマックスはこの後に待っていたのです。

この青空なら旭岳が夕陽に染まる風景が見られるかもしれない。ちょっと見に行ってみよう。佐久間の提案で、とっておきの展望ポイントに行くことになりました。しばしのドライブのあと、車を道の脇に停め、歩くこと十数分。


うわ。
息が止まるとはこういうことを言うのでしょう。雪に包まれた丘陵の向こうには愛別岳から富良野岳までが勢揃いしています。表大雪から十勝連峰まで見渡せる場所は旭川近辺にいくつもありますが、今まで見た中でも並ぶもののない景色です。いろいろな場所から、いろいろな大雪山を見てきた気になっていましたが、まだまだ知らない大雪がありました。

初めて大雪を歩いた時。初めて大雪を縦走した時。大雪には何度も感動させられ、その度に人生さえも変えられています。そんな感動を今日も受けてしまいました。こんな風景が見られるから・・・。

“今日世界中で一番きれいな大雪山を見たのは間違いなく自分だ”と確信できるほどの幸せなひとときでした。

2005-03-06

○ → △

札幌の皆さんに朗報です。先月の円山に続き、今月も札幌でスノーシュープログラムを行うことが決定しました。その名も「三角山から大倉山へぐるっと周遊コース」。
三角山から大倉山へのスタンダードな縦走だけでは飽きたらず、大倉山から尾根を下り三角山の裾を回って出発点へ戻るという、贅沢な周遊コースです。 大倉山まで行って同じ道を戻ってこなくてもいいんです!

葉を落とした広葉樹の枝間から見える景色。
雪の上に縦横無尽につくエゾリスの足跡。
夏には歩けない道なき道。
所要3時間程の半日行程の中に、冬ならではの魅力がぎゅっと凝縮されています。

催行日は3月21日(祝)。スノーシューにはまだ間に合います。春の陽射しの中、雪の上をお散歩してみませんか?


見事に“三角”な三角山

2005-03-05

支庁を股にかける

今日札幌で行われた「山のトイレを考える会」のフォーラムに出席してきました。屋久島の山岳利用状況などの報告があり、たいへん勉強になりました。今日中に東川に帰らなければならないため、途中で退席せざるを得なかったのが残念です。幸い、いただいた資料が非常に良くできていて、それを読めばそれぞれの方の発表要旨がわかるようになっています。こういった運営面での工夫も参考になります。

「山のトイレを考える会」は、独自のウェブサイトを持ち、パンフレットも発行するなど、フォーラムの開催以外にも精力的に活動をしています。しっかりした組織という印象ですが、発足からわずか5年、当初はたったの6人で活動をはじめたそうです。最初は有志の小さな集まりでも、5年経てばこれだけのことができるのですから、わたしたちも勇気づけられます。大雪山麓での講演会・勉強会の開催も、こつこつと積み上げていかなければならないと、決意を新たにしました。

さて、これから東川に向けて出発します。札幌に行ったり東川に帰ったりでなにかと忙しい今年の冬です。今日は東川でスノーシューツアーを行ったかと思えば、明日には札幌で下見を行い、先月東川で講演会を主催したかと思えば、今月は札幌でフォーラムに参加する。上川支庁と石狩支庁を股にかけて活躍するエリートビジネスマンとは、何を隠そうこの私のことだったのです。本当にエリートかどうかについては異議を認めませんので悪しからず。ビジネスマンっていうのも相当怪しいのですが・・・。

2005-03-03

休息と怠惰の間

2月に続き3月にも札幌でスノーシュープログラムを開催する予定があり、昨日はその下見に行くはずでした。ところがどうしても朝起きられず、気がつけば昼も11時。そんな時間から出発する訳にもいかず、結局下見は取りやめざるを得ませんでした。

昼まで寝ているなんて、ずいぶん怠惰に感じられるかもしれません。でも、どうにも体中がだるかったのです。起きようにも起きられなかったのです。考えてみると、最近疲れがたまっていました。先週ひいた風邪も治ったばかりで、病み上がりということもあります。なんといってもガイドは体が資本ですから、十分な休息は仕事の一部と言っていいでしょう。そんなわけで、昨日は仕事として休息日を取ったのです。

このように、私たちは自分自信の判断で休息を取ります。疲れが出ているのだと判断すればゆっくり休息をとりますし、怠惰に流れていると思えば体にむち打って山へ行きます。でも、このあたりの判断はとても微妙で難しいものです。なぜなら、体が本当に休息を欲しているのか、それとも単にさぼり癖が出ているだけなのか、その判断を自分自身で行わなければならないからです。

この判断を間違えると大変なことになります。人間、自分に厳しくするのは至難の業ですから、下手をすると本当に疲れてはいないのに休息ばかりとるようになってしまいます。かといって厳しくしすぎるのも問題で、無理に無理を重ねて体を壊してしまうかもしれません。

今の自分が怠惰に流れているのか、それとも本当に休息を欲しているのか。休息と怠惰の間を揺れ動く自分自信と真摯に向き合う。ガイドの仕事にはこんな困難もあるのです。

2005-03-02

「この冬一番の好天」を堪能する

 「この冬一番の好天」の下、冬の旭岳を心行くまで楽しんだ一日の山行記録が、山樂舍BEARウェブサイトにアップされました。詳細はこちらへどうぞ。