2006-02-10

冬は読書の季節

夏は何かと忙しく、ゆっくり本を読む暇も無いわけですが、その分冬はそれなりに時間を取ることができます。読みたい本は多々あれど、まずはずっと気になっていた本、「泥流地帯」を読了しました。大正時代の十勝岳噴火をテーマにした小説で、著者は三浦綾子。

この本との出会いは去年の夏。十勝岳を案内しているときのこと。あるお客さんに「泥流地帯って本、読んだことありますか?この山の話らしいんですけど」と聞かれたのです。大雪山に関する本だというのに、私は題名すら知りませんでした。こんなんじゃイカン、大雪山のことは幅広く知っておかないとイカン、というわけで、ずっと読みたいと思っていたのです。

この小説は、「人の生き様」がテーマです。そのため、噴火は描かれる出来事の一つでしかありません。それでも、物語として編まれることにより、噴火が年表の中の無味乾燥な単語なのではないことが直感的に理解できます。すぐ近くに暮らすほんの少し前に生きた人々の暮らしがどんなものだったのか。その暮らしに噴火がどういう影響を与えたのか。噴火が現実のものとして身に迫ってきます。他人事ではなく自分事として物事を把握するには、小説は抜群のメディアと言えるかもしれません。

来シーズン十勝岳を案内するときに、この疑似体験を役立てることができれば、と思います。

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