先日札幌で、「日本軍山西省残留問題」をライフワークとして追い続けている元日本兵・奥村和一さんを描いたドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』を観た。
小泉・阿部という右翼政権が押し進めている日本軍国化政策のおかけで、いまや「戦前」と言ってもいい時代になってしまった2006年のこの時期に、六十年前に無惨な結果に終わった侵略戦争について、自分なりに考えをまとめてみようと行っている作業の過程でこの作品のことを知った。
映画を見た後、帰ってからも、腹が立って眠れなかった。ポツダム宣言に違反して、敗戦後も軍の一部を中国に残して共産軍と戦わせ、戦犯逃れのためのアメリカとの裏取引のカードとして使った日本軍。共産軍との闘いに破れ、さらに捕虜として拘束された後にようやく戻った日本では、驚くことに「逃亡兵」扱いされる。「天皇陛下のために」と信じて闘った「戦後の闘い」は、自発的な残留と見なされたからだ。軍の命令で残留したはずが、「逃亡兵」とは!
このままでは死んでも死に切れないという奥村さんは日本政府を相手に裁判をおこすが、最終的には最高裁に棄却されて敗訴する。
この映画については、後日、稿を改めて書きたいと思う。
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