2007-12-14

九州山行10日目 天保山

12月3日(月)雨のち曇り

昨夜19時に宮崎港を出たフェリーはまるまる12時間かけて今日7時に大阪南港に入港しました。屋久島のときに乗ったはいびすかす号とは違い、広い船内には売店はもちろんお風呂はある食堂はあるラウンジはあるで、えらく快適な船旅でした。

売店前に置かれたテレビモニターには航路と現在位置が表示されていて、1時間おきに「どのくらい進んだかな?」と確かめるのも楽しいものです。四国南岸をかすめるように進路をとる船はほとんど揺れず、広いカーペットの2等船室に寝ころんで本を読めるほど。パソコンはない、携帯電話の電波も届かないという状態では、何にも邪魔されることなく読書に没頭できるというものです。

私は旅先や山の中で本を読むのが大好きで、特に長い旅になるときには必ず5~6冊は文庫本を持つようにしています。古本屋に行って100円の棚を端から端まで眺めていつもは読まないような本を買う。それはもはや出発前の儀式のようなもので、最重要な準備といえます。文庫本といはいえ何冊も持つと嵩張るし重くなるのですが、でもやっぱりザックに入っていないと安心できません。飛行機や船での移動中、出発までの待ち時間、山小屋やテントの夜、どんなときでも本さえあれば楽しく過ごすことができます。

夜明け直後の大阪南港は、昨日とはうって変わって雨模様。ちょっとばかり北上したからか、それともこの天気のせいか、肩をすぼめたくなるような冷気を感じます。フェリー入港に合わせて運行しているシャトルバスに乗り遅れた私は、ニュートラムの駅まで歩く羽目になってしまいました。意味もなくターミナルの中をうろうろ見てまわったりしてるから・・・。

例によって周辺の地図はなく、大きな道大きな道と当てずっぽうで歩くこと1時間。傘をさしていたにもかかわらず、駅に着く頃にはズボンの裾がぐっしょり濡れてしまいました。港周辺では、1区画がやたらと大きくて見通しはいいのですが、見えているところになかなかたどり着かないというのが困りもの。車移動には適していても、歩くと距離以上に疲れるものです。普通の人はこんなところ歩かないのでしょうけど。

フェリーターミナル駅でニュートラムに乗りコスモスクエア駅で地下鉄に乗り換え、一つ先の大阪港駅で下車します。このまま乗っていれば自動的に大阪中心部まで行けるのに、敢えてここで降りるその目的は。そう、天保山です。大阪まで来てこの山に登らずにいられようか、いやいられない。というくらい登山家を惹きつけてやまない山です。なぜ登るのかと問われれば、私は自信を持って答えます。「そこに天保山があるから」と。

大阪港駅から徒歩10分ほどで登山口に到着。いよいよここから始まります。ひとつ深呼吸したら、ザックを背負い直しベルトを締め直して、気持ちも引き締めて、出発!

と、その前に地形図を確認、っと。現在地・目的地・方位・距離を頭にたたき込みます。これ、登山の常識ね。

紅葉の並木に覆われた登山道は登る先が見えないほど。重力に逆らい一歩一歩体を持ち上げます。吐く息が白いのは標高の高さゆえでしょうか。

そして最高点に到着!ここが事実上の山頂となるのでしょう。50段という気の遠くなるような長い石段を登り切った自分におめでとう。残念ながらガスにまかれて遠望を得ることはできませんでしたが、困難に挑戦し達成したことに意義があるわけで、景色など二の次です。

名目上の山頂である二等三角点「天保山」まで縦走を試みます。三角点の標高は4.53m。この困難極まりない山の頂に、こんな重装備で到達した岳人はいまだかつていたでしょうか。まさに名誉ある登頂です。なんならここで3~4泊はできる装備と食料がザックの中には入っています。とはいえ、冷たい雨がどんどん体温を奪っていく状況では長居は無用。生きて帰って初めて登頂成功といえるのですから。

なんとか登山口まで帰り着き、万感の思いを込めて振り返ると、そこには天保山の頂が、私を睥睨するかのように高く聳えているのでした。

11 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

天保山、私の手元のコンサイス日本山名辞典には載っていませんでした。

そこで、本屋で目にした日本山名辞典(三省堂5,300円)を立ち読みしたら、天保年間に安治川の土砂を積み上げたもので、標高4.53mの二等三角点ありとか。

日本一低い山か議論が有るらしい。
築山(人口の山)だし、もっと低い山もあるらしいし。
う~ん。各人にとっての「山」とはという問題に(ムリヤリ)行き着くか。

近くに海遊館があるんですね。海遊館は行ったんですけど、天保山は意識しなかったなあ。
一体どうして登頂を志したのでしょうか?

DOEI Takuma さんのコメント...

天保山登頂を決意した理由は、

1)道内在住の知人が立ち寄ったという話を聞いたことがあり、なんとなく記憶に残っていた。

2)フェリー港から市街へ出る経路を調べていたら、ちょうど途中にあることがわかった。

3)90Lのザックを背負って行ったらさぞ面白かろうと思った。

というところでしょうか。
最寄り駅から往復しても20分くらいですから、ちょっとした話の種に、と思いまして。

匿名 さんのコメント...

そうですか。話のタネですか。
では、天保山山岳会発行の登山認定書はもらって来られましたか?

DOEI Takuma さんのコメント...

登山証明書の存在は知っていましたが、なぜか興味を惹かれなくって。
開聞岳では同様のものを貰いましたが、それは立ち寄った場所でたまたま配布していたからで、積極的に手に入れたかったわけではないのです。
貰ったほうが良かったでしょうか?

匿名 さんのコメント...

話のタネとしては、もらった方が良かったかも。
でも、認定書を取り出して得々と話すのは、個人的にはイヤミな感じも。

そうですか、知ってたんですね。
さすが準備おさおさ怠りなし。OKで~す。

匿名 さんのコメント...

天保山の山頂は,紛れもなく三角点のある明治天皇行啓碑のあるところで,「山頂」からは聳える様に見える四阿のある展望台はたんなる築山でござんす.

あっさり登頂,おめでとうござんす.小生,登頂には開聞岳の往復より時間を要しました.

DOEI Takuma さんのコメント...

たぶん私を天保山登頂に駆り立てたのはSuryaさんです。
おかげで三角点の位置については苦労することなく探し当てることができました。

ヒンディですよね?

匿名 さんのコメント...

ヒンディでも,ベンガリーでも,はたまたネパーリーでも.お好みで.

"スルヨダヤ"というのが訳語なんですが,わかる人には何の芸もなくわかってしまうので,HNとしては"スルヤ"くらいが適当かと.

おじゃまさま

DOEI Takuma さんのコメント...

よく考えてみると、機窓からの写真なんかも影響されているような。
以前はそんなことに興味ありませんでしたし。

匿名 さんのコメント...

フフフ・・・

元「バックパッカー」が串カツ屋に入れぬとは.まだまだよのお.なおブログによると,体重3桁おじさんも外だけ眺めて入れなかったそうです.

DOEI Takuma さんのコメント...

そういえばSuryaさんは串カツ経験がおありですものね。

私は基本的に小心者なので・・・
あの雰囲気は絶対ムリです!