2008-12-14

四国山行7日目 石鎚山-笹ヶ峰縦走1

11月26日(水) 快晴のちガス


伊予西条7時43分発のバスに乗って1時間弱、まだ陽が射さない冷たい空気の中、石鎚ロープウェイ前なる停留所に降り立ちました。山間の小さな集落という感じで風情がある町並みですね・・・って、「ロープウェイ前」で降りたはずなのに、周囲を見回してもそれらしき建物がありません。まさか降りる場所間違えた?・・・はずはないのですが。

ちょうど通りかかった地元の方に訪ねると、建物と建物の間の路地風の狭い階段を登らなくてはならないとのこと。ロープウェイと言えば広い駐車場がタクシーや観光バスで賑わっていると思っていたので、まさか路地に入るとは思いも寄りませんでした。しかもすごく狭い。あぶなく車道を行ったり来たり探し回るはめになるところでした。

駅舎自体も賑やかさとは無縁で、もう9時になるというのにロープウェイに乗ったのは私一人。山頂駅で降りても一人。売店の人も後に引っ込んでいて人の気配がまるでしません。人工物に囲まれた中で一人きりというのはなぜか無性に心寂しくなるものです。もしかして、石槌山はとっくにシーズンオフに入っているのでしょうか。

しばらく林道風の道を歩き、その間は一人きりだとしてもいつも通りなので特に何も感じず、でもまたこんな建物が出てくると孤独が身に沁みたりします。山頂駅から20分ほどで成就到着です。 神社があったり旅館があったりお土産物屋があったりと、ちょっとした町になっています。ほとんどシャッターが下ろされているので裏寂しい感じはしますが、夏などは賑わうのでしょう。ロープウェイを降りて歩いたその先にこんな町があるなんて、道産子的常識からは考えられないことです。異文化異文化。

成就からはこの立派な門をくぐって再び登山道が続いていきます。こういうのを見ると、もともとが信仰の山であって、レクリエーションとしての登山は新参者なのだと感じさせられます。この先の木立の道にも鳥居が立っていますし、登るに連れて自然と厳かな気分になったりして。

鳥居を越えると次第に急登となります。今回はいつになく荷が重いため、歩みもゆっくりゆっくりと。4泊分+αの食料はそれだけでずっしりとしていますし、しかも水場が枯れている可能性を考慮して飲み水を2リットル余分に持っています。だから重い。たしかに重い。でも、これが旅している実感ともなるし、楽しさ・自由さの象徴ともなっているのです。体がきつければきついだけ心は軽やかになるのですからおかしなものです。

いったん登りを終え道が平らになったとき、急に視界が開けて目の前に現れたのはそそり立つ峰。うっすらと雪をまとった石鎚山でした。思わず息を飲み、次いで声が出る。これは・・・キレイだ・・・。

急傾斜でそそり立つ壁を白い樹氷が飾り、しかも背後から陽光を浴びてチラチラと輝くのです。見とれては写真を撮り、撮ってはまた見とれ。なかなか足が先に進みません。

そこから一登りで二の鎖小屋の分岐に到着します。ここで重たいザックを下ろし、サブザックに持ち替えて山頂を往復してきます。このあたりから登山道上が完全に雪に覆われるようになりました。

さきほど下から見上げた氷の木々は間近にするとこの通り。逆光の陽を透かして、柔らかく発光しているかのようです。何度でも言いますが、今は11月です。ここは四国です。

二の鎖小屋から上は名物の鎖が連続して現れます。ま、岩が凍っていたので登らなかったんですけど。鎖を使わない場合は階段の迂回路を。ここまできたら山頂はもうすぐ。

ここまでの登路はずっと北斜面。雪がびっしり着いていて若干危ない箇所もありました。でも山頂付近で南斜面に出ると、日だまりとなっているそこにはほとんど雪はありませんでした。むしろぽかぽか暖かそうなほど。山頂の一番高いところを占める石鎚神社では信者の方々がなにやらお参りをしていました。

二の鎖小屋までは一人きりで静かに寂しく登ってきましたが、その分岐から突然他の登山者と出会うようになり、ここ山頂ではざっと10人くらいが休憩していました。どうもロープウェイを使って登ってくるコースはあまり人気がないようです。二の鎖小屋の分岐から先、私がこれから歩いていく土小屋方向から登ってくるのが一般的ということなのでしょう。

山頂からの風景。最高点はここからもう少し先、あのそそり立っている天狗岳です。岩を伝ってあそこまで行くことはできるようですが、今回は見るだけで満足。だって凍っていて怖いでしょう?

山頂からの風景その2。天狗岳から90度左を向けば瓶ヶ森。その奥には笹ヶ峰。綿雲を被っているようです。予定では、明日瓶ヶ森まで、明後日笹ヶ峰まで移動することになっています。なかなか大きな山塊で、まだまだはるかな道程です。

ザックを置いた分岐まで戻り、再び重荷を背負って土小屋に向かいます。そそり立つ石鎚山の北壁をトラバース。これで今日はもうほとんど登りがないはず。

ほとんど標高の変わらないトラバースと、その後のゆるゆる稜線歩きが終わると、そこは舗装路でした。建物もいくつも建っています。駐車場もあり、車が何台か駐まっています。石鎚山に登るには、確かにこちらからの方が断然楽でしょうね。ほとんど標高差がありませんから。

実は今日は目的地をはっきりと決めていませんでした。結構近い距離に泊まれる場所が複数あるので、まあどこでもいいわけです。候補としては、1)さっき通り過ぎた二の鎖小屋分岐付近にあるキャンプ場、2)ここ土小屋、3)もう少し先の避難小屋、の三つがあります。1)ではあまりに一日の行動が短すぎるので不採用。2)まで来てもまだまだ時間に余裕があるし、なにより今日は天気がいい!体調もいい!もっと歩きたい!と言うわけで3)のシラサ峠避難小屋まで足を伸ばすことにしました。

土小屋からシラサ峠までは、はっきり言ってあまり良い登山道とは言えません。なぜなら、車道が平行してつけられていて、そっちを歩く方がはるかに楽なのです。しかも登山道を歩いたからと言って特に景色がいいわけでもなく、なんら優位な点がありません。今回は初めてだから意地になって登山道を歩きましたが、もし次の機会があれば間違いなく車道を歩くでしょう。というか、こんな山の上に車道なんてつけるな!なのです。せっかく山の奥深さを楽しめるというのに、車がブーブー走っていては興ざめもいいところです。

なんてブツブツ言いながらやってきたシラサ峠避難小屋。さっきまでの快晴はどこへやら。すっかりガスに包まれてしまいました。

就寝直前に聞いた明日の天気予報は・・・午後から崩れる。やれやれ。

今日の行程
山頂成就駅-石鎚山-土小屋-シラサ峠避難小屋
所要時間:6h55
歩行距離:14.3km
累積標高:+1357m/-1246m

7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お帰りなさい!
どっぷり道産子に浸かってる私も四国の町並み風習は新鮮で目新しいです。
地元でも知らない事もあり、ましてや日本もまだまだ知らないことだらけで、その上世界なんてと考えると探究心は増すばかりですね。
それにしても凄い表現力ですね。
言葉でこれだけ人を楽しませ引き込むのはなかなか出来る事ではないですよ。
いつもびっくりさせられます。
連載楽しみにしていますね♪

DOEI Takuma さんのコメント...

お褒めにあずかり光栄です。
今9日目まで書き終わり、10日目に取り組んでいるところです。
精一杯頑張ります!

匿名 さんのコメント...

うっすら雪をかぶった石鎚綺麗ですね。

私は、ずいぶん前に一度、一合目から歩いたのですが、成就あたりこんなに建物があったとは・・・
紅葉シーズンが終わると一気に人けが少なくなるのですね。

このあたりは、えらい孤独感が出てたんですね~~^^;

匿名 さんのコメント...

私の見ている諸国名山案内でもロープウェイで登ってますが、スタンダードではないのでしょうか。修験道なら苦労して登るのが正解だと思います(なら歩いて登れって言われるかな)。

それにしても、最高点登らないのですね!鎖も。Tさんの七不思議です。

当然、翌日の子持権現も登らない。う~ん、欲求不満です。臨場感のある文章で登らせて欲しかった。

さて、シラサ峠。名山案内ではシラザ峠。でも「山荘しらさ」。どちらもあり?
で、語源は?
シラザあ言って聞かせやしょう!って(言いたかった)。
(ネット検索では、シラサとは白く枯れた笹を言い、ここからきたという説に触れてましたが、如何に)

DOEI Takuma さんのコメント...

あんちゃんさん、
一合目から歩くとはさすがですね。
紅葉時季の日帰りなら、そんなコースもきっと楽しいでしょうね。

もっちさん、
あれもこれも登らず、大変申し訳ございません・・・
どうしてなのかは自分でもよくわかりませんが、興味が湧かないものですから・・・

シラサ峠で目立っていたのは、舗装路と駐車場と立派な建物。
ササとは無縁に見えました。

匿名 さんのコメント...

お久しぶり~
いつの間にかUPしてたのね~
天狗岳は、ヒョッとして北海道の剣が峰?
と思わせるような景色。
天気が邪魔しても楽しめたのでは?

DOEI Takuma さんのコメント...

モンタンさん、
お久しぶりです。

今となっては雪に見舞われたりしたのも良い思い出です。
充分楽しんで帰ってきました!